2016年シーズン序盤において注目されることのひとつが、ホンダとルノーのパワーユニットがどれほどの改善を果たしたのかということだろう。
■ルノーは前年のフェラーリほどの飛躍が期待できるとホーナー
2010年から2013年にかけてF1タイトル4連覇を果たしたレッドブル・ルノーだったが、2014年にスタートしたパワーユニット新時代にルノーが乗り遅れたことで、タイトル獲得の望みが絶たれてしまった状況を迎えている。
こうした状況のもと、2015年シーズン中にはレッドブルとルノーの関係が悪化。レッドブルではルノーとの契約を中途解除し、ほかのメーカーとの交渉を行っていた。しかし、どのメーカーからもそっぽを向かれたレッドブルは、結局今年もルノーからパワーユニットの供給を受け、それにタグ・ホイヤーという名称を与えることで一件落着している。
今年からルノーが自らのワークスチームを立ち上げたことにより、レッドブルでは昨年までのようなワークス扱いを受けることはできなくなる。それでも、今年のルノーパワーユニットは昨年に比べると確実な進歩を果たしたと考えられている。
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』によれば、ルノーパワーユニットは、昨シーズン末以降緩やかな進歩を遂げるにとどまっているものの、現時点では第7戦カナダGP(6月12日決勝)までにさらに35馬力向上させることが計画されているという。
レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーも、その改善に大いに期待していると次のように語った。
「それほどの飛躍は、昨年フェラーリが行ったものと同じくらいだと言えるからね」
■ホンダの改善はまだ十分ではないかもしれないとミカ・サロ
一方、2015年には悲惨とも言えるシーズンを送ったホンダも復帰2年目のシーズンに向けて改善を果たしてきたのは確かだ。それでも、フェルナンド・アロンソやジェンソン・バトンは、実際のパワー向上幅はそれほど大きいものではないとほのめかしている。
だが、マクラーレンのレーシングディレクターを務めるエリック・ブーリエによれば、「メルボルンではもう少しパワーが増すはずだ。ソフトウエアの改善によってね」ということだ。
しかし、F1関係者の中には、今年マクラーレン・ホンダが実際にどれほどの進歩を見せることができるのかということについて懐疑的な見方をしている者もいる。その1人が、フィンランド出身の元F1ドライバーであるミカ・サロだ。サロは『Ilta-Sanomat(イルタ・サノマット)』に次のように語った。
「ホンダの最初のシーズンはまったくひどいものだった。冬のテストにおいて改善されたことが示されはしたが、あれで十分だろうか?」
そう語ったサロは、次のように付け加えた。
「まだ分からないな。でも、彼らは間違いなく、今後もある程度の改善をしていくだろうけれどね」