F1シーズン前のテストで、昨年に比べてタイムが伸びなかった原因は、タイヤの空気圧にあるようだ。
バルセロナで行われたシーズン前テストを終えて、2年連続チャンピオンのルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)は、今年のタイヤについて不満を述べている。
「今年のタイヤは特に良いものじゃないね」
「むしろ去年のタイヤに戻せたらと思うよ。今年のは前より良くないから」
■ウルトラソフトでも昨年のソフトタイヤと同タイム
新ルールになって3年目を迎え、パワーユニットは確実に出力を増し、F1マシンのダウンフォースは増えているにもかかわらず、テストのタイムは伸びなかった。
2015年のトップタイムは、ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)がソフトタイヤで出した1分22秒792だ。対して今年は、新たに加わったウルトラソフトでキミ・ライコネン(フェラーリ)が出した1分22秒765で、2段階軟らかいタイヤにもかかわらず、ほとんど変わらないタイムだった。
■原因は高い空気圧
「理由は、ピレリによって指定された空気圧が高いからだ」とドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌のミハエル・シュミット記者は書いている。
昨年のベルギーGPでタイヤが破裂する事態が相次いで以降、ピレリはタイヤの最低空気圧を高めに設定し、FIA(国際自動車連盟)は、それを厳密に守るようチームに義務付けた。
シーズン前テストでも、空気圧は昨年より5PSI(ポンド毎平方インチ)高く設定されていた。
空気圧が高いと転がり抵抗が下がるため、トップスピードは上がるが、路面との接地面積が減るため、特に低速コーナーでコーナリング速度が下がるという。
「殻付き卵で走っているような感じ」という匿名のドライバーの言葉を記事は伝えている。