F1では2017年からF1カーのコックピットにドライバーの頭部保護装置を導入する方向で検討が進められている。だが、これに関してはいまだに賛否両論あるようだ。
■2017年から頭部保護装置導入が決定
少し前に、GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション/安全問題などを討議するF1ドライバーによる任意団体)のアレックス・ブルツ会長が「すべてのドライバーが、頭部保護装置が正式に導入されることを希望している」と主張。これを受けてF1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)は2017年から何らかの装置を導入することを決定していた。
これまでに伝えられているところによれば、メルセデスAMGが原案を出した「ハロー方式」と呼ばれる装置が最有力候補にあげられているようだ。ハロー(halo)というのは英語で「後光」を意味する語であり、ドライバーの頭を丸く囲むことからこう呼ばれているものだ。
■F1コックピットはオープンであるべきとの声も
だが、本当にすべてのドライバーがその導入を望んでいるかと言えば、必ずしもそうではないようだ。
例えば、フォース・インディアのニコ・ヒュルケンベルグはF1カーのコックピットを何かで覆うようなものは不要だとの主張を行っている。
昨年、ドライバーからの感想を得るために、提案されているハロー方式保護装置の模型が各チームに配られていたが、それに関してヒュルケンベルグは次のように語っていた。
「個人的な意見に過ぎないけれど、僕は、これは好きじゃないな。僕に言わせれば(F1カーのコックピット)はオープンな状態でなくちゃ」
■ビアンキらの死亡事故がドライバーの意識を変えた
一方、レッドブルのダニエル・リカルドは地元オーストラリアの『Sunday Age(サンデー・エイジ)』紙に次のように語った。
「それを望まないと言ったのは恐らくニコ・ヒュルケンベルグだったんじゃないかと思うけれど、ほかのほとんどのドライバーはそうすることを希望していると思うよ。だから、どうなるか様子を見ることにしよう」
リカルドによれば、当初はほかにもコックピットを覆うことに反対したドライバーもいたものの、2014年の日本GP決勝で起きたジュール・ビアンキの事故や、昨年アメリカのインディカーレースにおいてクラッシュした他車の破片が頭部を直撃したことで命を落としたジャスティン・ウィルソンの事例によって、やはりそれが必要だという考えに変わったのだという。
■F1とインディカーでは条件が違うとルーキードライバー
しかし、ヒュルケンベルグのようにF1カーのコックピットをふさぐことには反対だというドライバーはほかにもいる。
昨年はロータスの控えドライバーを務め、いよいよ今年ルノーからF1デビューを飾ったジョリオン・パーマーがそうだ。
パーマーは、『PA Sport(PAスポーツ)』に次のように語った。
「僕としても、安全問題は重要だと思うよ。だけど、それほど懸念はしていないんだ」
「その観点から見れば、インディカーはF1とはかなり違っていると思う」
「(インディカーでは)クルマが外側の壁にぶつかれば飛び散った部品はすべてコース後方へと飛んでしまう。F1の事故の場合は、大概の場合、壁にぶつかってもそれはコースからはかなり離れていることが多いんだ」
そう語ったパーマーは、次のように付け加えた。
「F1はずっとオープンコックピットだったわけだし、そういうF1の伝統を失わないように慎重であることが必要だと思うよ」