2015年には経営破たん寸前のところまで行っていたロータスだが、2016年には新生ルノーF1チームとして新たな一歩を踏み出すことになった。そして、そのチームにメルセデスAMGのような成功をもたらすことを期待されているのが、チームの技術責任者に就任したボブ・ベルだ。
■メルセデスAMG成功の基盤を築いたベル
マクラーレン、ベネトンなどで活躍したベルだが、ルノー時代の2005年と2006年にはテクニカルディレクターとして、フェルナンド・アロンソ(現マクラーレン)を擁して2年連続でF1タイトルを手にしている。
ベルはその後、2011年にメルセデスGP(現メルセデスAMG)に移籍し、テクニカルディレクターに就任。2014年には同チームを離れることになったものの、2014年以降圧倒的な強さを見せているメルセデスAMGのF1カーの基本設計にはベルが大きくかかわっていたと言われている。
2015年シーズンの途中でマノー・マルシャのコンサルタント就任が発表されたベルだが、このほど古巣に戻る形で、ルノー新ワークスチームのチーフテクニカルオフィサーに指名されている。
■視線は1年半先に
ベルは、ルノーで今後行うことになる業務について、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。
「メルセデスでの役割も今と似たようなものだった」
「エンストンのチーム(ルノー)は今でも本質的にいいレースカーの造り方を知っているよ。だが、今我々は2005年とは違う時代に生きているんだ」
「今最も重要なことは長期的な成功を可能とする正しい基盤を作り上げることだ。我々は次のレースではなく、1年半ほど先に目を向けているよ」
■シャシーとエンジンの歩調合わせが肝要
57歳のベルは、ルノーにおいてシャシー担当ディレクターであるニック・チェスターと、エンジン担当ディレクターであるレミ・タファンという2人の業務を統括することになる。
「私はエンジン担当エンジニアではないが、(以前よりも)エンジン開発のほうへ影響力を持つことになるだろう。だが、両者がうまく関連付けられることが必要だ」
そう語ったベルは、次のように付け加えた。
「両者が同じ方向へ進むように持っていかなくてはならないし、人材や資金などもそれぞれに適正に配分しなくてはならない」