かつて4度F1チャンピオンに輝いたアラン・プロストが、2年連続でチームメートのルイス・ハミルトンにF1タイトルをさらわれたニコ・ロズベルグを擁護するコメントを行った。
最近、ハミルトンとロズベルグの関係がさらに悪化してきていることをメルセデスAMGでも憂慮していると伝えられている。
メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフは、これ以上ロズベルグとハミルトンの関係が悪化するようであれば、ドライバー体制の見直しをする必要もあるだろうと語ったことが報じられていた。
■メルセデスは2人をうまくコントロールできるはず
これに関し、プロストは『Bild(ビルト)』に次のように語った。
「トトやニキ・ラウダ(メルセデスAMG/非常勤会長)はいい友人なんだ」
「昨シーズン、彼らが私に助言を求めたというのは事実だよ。だが、私は彼らが現在の難しい状況をうまくコントロールできていると思っている。もちろん、コントロールを失うようなことがあっては絶対にまずいがね」
プロストも現役時代には、マクラーレンでチームメートとなったアイルトン・セナとの間に確執問題があったことはよく知られている。
「だが、メルセデスは巨大な企業だし、最高経営責任者からメカニックに至るまで、全員がモータースポーツに対する情熱を持っている。彼らは自分たちがやっていることをよく理解できているよ」
そう語ったプロストだが、今年2年連続でハミルトンにF1タイトルをさらわれたとはいえ、ロズベルグの終盤の活躍は非常に見事だったと考えている。
■ロズベルグの終盤の活躍を称賛するプロスト
今年も昨年に続いてハミルトンとのF1タイトル争いに敗れたロズベルグだが、終盤は6戦連続でポールポジションを獲得。第17戦メキシコGPから最終戦アブダビGPまでは3連続ポール・トゥ・ウィンという素晴らしい結果を残している。
「シーズン終盤の彼(ロズベルグ)はけた外れによかったよ」
プロストはそう語ると、次のように付け加えた。
「タイトルが取れないと分かったときは本当にたたきのめされてしまうものだ。だから、彼がこれほどすぐに力強さを取り戻したのは素晴らしいことだった」
■ロズベルグに欠けているものは?
だが、プロストもロズベルグには少し欠けていた部分があったと考えている。
「ニコの問題は、ルイスがあまり読みやすい人物ではないということだ。彼は本当のレーサーだし、攻撃すべきときと、あまりそういう必要がないときが本能的に分かっている。それに、コックピットの中でも外でも、どうゲームを進めればいいのかが分かっているんだ」
「ニコはルイスのレベルに到達していないとの声もあるが、私はそういうふうには見ていないよ。私に言わせれば、彼は少し積極性に欠けていただけだ。2014年のスパ(ベルギーGP)で彼らが接触事故を起こしたときから彼が変わってしまったと思う。あれ以来、彼は本来の攻撃的な姿勢を失ってしまっていた」
■2016年にはそうした状況に変化の可能性
だが、2016年には状況を好転させるチャンスが生まれるかもしれない。それは、フェラーリがタイトル争いにからんできそうだという兆候だ。これがきっかけとなって、ロズベルグも自然と再び攻撃的な姿勢を取り戻すことになるかもしれない。
「フェラーリがメルセデスAMGに対してどれほどプレッシャーをかけることができるかによっては、ニコとルイスの間の戦い方も変わってくるかもしれないよ。私は、それによってニコにとってはやりやすくなるかもしれないと思っている」
「何年にもわたってニコはルイスとの戦いだけに集中してきていた。だが、今後はそこにほかの誰かが加わることになるかもしれないからね」
■ロズベルグはメルセデスAMGにとどまるべき
現在、ハミルトンという強力なライバルがチーム内にいるロズベルグだが、中にはそんなロズベルグがほかのチームへの移籍を考えているかもしれないと見ている評論家たちもいる。
だが、プロストは、ロズベルグはメルセデスAMGにとどまることを考えるべきだと次のように主張した。
「現時点ではノーだよ。少なくとも、現在の彼の状況であればね。もっと差が開いてしまうようなことがあれば、そこで初めて考えるべきだ」