2016年のF1は、今季とは違い、より激しいタイトル争いが繰り広げられることになるかもしれない。
2015年シーズンは、メルセデスAMGのルイス・ハミルトンが圧倒的な強さを見せて2年連続で自身3度目のF1タイトルを獲得した。
■ハミルトンの3連覇を阻むライバルは?
だが、シーズン中盤まではなかなかペースが上がらなかったチームメートのニコ・ロズベルグもここへきて調子を上げ、5連連続でポールポジションを獲得すると、メキシコGP(第17戦)とブラジルGP(第18戦)で連勝し、いい勢いを持って2016年を迎えることができそうな雰囲気を示している。
そして、もう1人、そのメルセデスAMG勢の戦いにからんできそうなのが、今年のドライバーズランキング3位が確定したフェラーリのセバスチャン・ベッテルだ。
ベッテルはメルセデスAMGに対して力の劣るフェラーリSF15-Tで今季3勝をあげ、ポールポジションも1回達成している。もし来季メルセデスAMGとフェラーリのF1カーの能力差がさらに縮まってくれば、メルセデスAMGのドライバーたちも安穏とはしていられないはずだ。
■2016年はロズベルグとベッテルもチャンピオン候補
イタリアの『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』は、大きな山場もなく終始した先週末のブラジルGPは「F1がまるで睡眠薬のようだった」としつつも、「だが、少なくともロズベルグとベッテルはしっかりと目覚めていた」と書き、「2016年のタイトル争いは容赦のないものとなるだろう」と付け加えている。
『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』も、フェラーリはいまや大きく進化を遂げており、来季にはメルセデスAMGをとらえることもできそうだと次のように書いている。
「ブラジルは2016年に向けた心地よい前奏曲となっていた。フェラーリは、来季はもはや言い訳など必要とせず、タイトルを狙えるだろう」
■ハミルトンもこのままでは終わらない?
だが、『La Repubblica(レプブリカ)』は、ハミルトンが2015年のタイトル獲得を決めたあと、本当に懸命にレースをしているとは思えないと次のように主張している。
「ハミルトンはかつてこれほど退屈なレースをしたことはなかった。ああいう形でロズベルグに降伏してしまうのは彼のスタイルではない」
ブラジルGPの前には自宅のあるモナコで“パーティーのやり過ぎによる疲れ”のために、数億円もするスーパーカーで事故を起こしていたことが明らかとなったハミルトン。アメリカGPでタイトルを確定させてからは、少し集中力に欠けているのではないかと見ている者も少なくないようだ。
「終わりよければすべてよし」との格言もあるが、来週末に行われる今季の最終戦アブダビGPでは、ハミルトン、ロズベルグ、ベッテルがそれぞれどういう形で今季を締めくくるのかということに興味が持たれるところだ。