F1を統括するFIA(国際自動車連盟)は、チームの合意を待たずに代替エンジンを導入する手続きを開始した。
FIAは、公式サイトにも掲載している書面で、2017~2019年に使用する代替エンジンの供給メーカーを決めるため、参入の意思表示を11月23日までにするよう求めている。
「FIAは、前述の選手権(F1)の2017、2018、2019年シーズンに、代替エンジンを独占的に供給するメーカーを特定するため、エンジンメーカーとの協議を開始することを決めた」とある。
FIAは、自動車メーカーではない独立系エンジンメーカーを求めており、技術的・経済的能力を認められたメーカーが正式な入札手続きに進むとしている。
候補と見られているのはコスワースやイルモアだ。この書類では代替エンジンの仕様について明らかにしていないが、2.2リッターV6ツインターボエンジンになると見られている。
■代替エンジン導入をF1継続の条件にしていたレッドブル
2016年はルノーエンジンとの契約を継続すると見られているレッドブルだが、2017年以降は新たな代替エンジンを使用する意向を明らかにしている。
レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコが『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』に次のように語った。
「2016年はわれわれにとって移行の年になる」
「2017年には代替エンジンになるだろう。ジャン・トッド(FIA会長)もバーニー・エクレストン(F1最高責任者)もわれわれにそれを確約した」
「より安いエンジンで、それによってわれわれは自動車メーカーから独立できる」
また、マルコは『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に「(代替エンジンが)F1にとどまる条件だった」と明かしている。
■フェラーリの拒否権で強硬姿勢に打って出たFIA
FIAは、高騰するカスタマーエンジンの使用料を1200万ドル(約15億円)に抑える案を提案したが、これにはフェラーリが拒否権を発動。トッドは、第17戦メキシコGPで次のように話していた。
「この解決策を導入できなければ、ほかの解決策が必要だ」
「そうしなければ、チームが破産する危険がある」
次のストラテジーグループの会議は、代替エンジン供給の意志を示す締め切り日の翌日、11月24日に予定されている。現在パワーユニットを供給しているメーカーは代替エンジンに反対すると見られており、会議は紛糾するだろう。
エクレストンは『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように話している。
「自分たちは非常に賢いと思っている人もいるが、われわれも馬鹿ではない」
ストラテジーグループでは、6チームが1票ずつ持っているのに対し、FIAとエクレストンが合計6票持っている。これにレッドブルが加われば可決されるだろうと記事は伝える。
また、本来は次にF1委員会での可決が必要だが、「不可抗力の事態」としてこれを飛ばし、世界モータースポーツ評議会に直接提案する可能性もあるとしている。