メルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダが、メルセデスが一見ライバルメーカーたちに有利になるように見える“F1エンジン開発制限”の緩和に賛成した理由を語った。
今年2年連続でF1ドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルを獲得したメルセデスAMGだが、かつて3度F1王座に輝いた伝説的元F1ドライバーでもあるラウダは、去年と今年では状況がかなり違っていたとイタリアの『Autosprint(オートスプリント)』に次のように語った。
「2014年には我々にアドバンテージがあることは明らかだった。我々には最高のエンジンと最高のシャシーがあったからね」
「だが、今年はフェラーリが大きな飛躍を遂げた。彼らがモンツァ(第12戦イタリアGP)で新しいエンジンを投入してからは、パワーや効率性の観点から見れば、以前は20馬力あった我々のアドバンテージが消えてしまったと言うしかない」
「今でもメルセデスAMGのシャシーのほうがいい。だが、来年にはこの状況も変わってくるんじゃないかと思っているよ。ひとつのチームが技術的優位を長期に維持するのは難しいことだからね」
「技術レギュレーションに基づいて、現時点ですでに可能な限り最高のパフォーマンスを発揮しているとすれば、もはやそこからさらに進歩するのは難しいことだ。つまり、我々は、後ろにいるチームたちの手が届くところにいるというわけだ」
だが、メルセデスAMGでは、ライバルエンジンメーカーたちがシーズン中にもパワーユニットの開発が継続できるようにするために、2016年のルールを見直すことに賛成していた。
さらに、開発を行うために必要な“トークン”の数も、メルセデスAMGが容認したことでこれまでよりも増やされることになっている。日本的表現を使うならば“敵に塩を送った”ようなものだ。
これに関し、ラウダは次のように続けた。
「あるチームがライバルたちに追いつくことを許すためにレギュレーションを変えるというようなことは、そうたびたびあることではないよ。だが、そのルールそのものがばかげたやり方で決められていたということも理解する必要があるんだ」
「遅れて参入してきたホンダにはもっと少ないトークンが割り当てられることになっていた。これはばかばかしいことだったよ。ルールが間違っていたんだ」
「メルセデスAMGにとっては、もっと激しい競争が行われているという状況で勝つほうがもっと満足できるものなんだ。そして、私はこれまでの人生を通じて戦うことを恐れたりなど決してしてこなかった」
そう主張したラウダは、次のように付け加えた。
「だから、もしルールが間違っているのなら、それを変えなくてはならないということさ」