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スージー・ヴォルフ、モータースポーツからの引退を発表

2015年11月04日(水)19:04 pm

ウィリアムズの女性テストドライバーであるスージー・ヴォルフが、モータレーシングの世界から引退することを明らかにした。

かつて、DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)に出走していたヴォルフは、2012年にウィリアムズの開発ドライバーに就任。シミュレーターを通じてのF1カー開発や、20年ぶりに女性として初めてF1での公式プラクティス走行を経験。今季はその実績を買われてテストドライバーとしてウィリアムズと契約を結んでいた。

■きっかけはエイドリアン・スーティル

現在32歳となるスコットランド出身のヴォルフは、F1ドライバーとなる夢の実現に向けてウィリアムズでの仕事に取り組んできていた。だが、その将来に疑問を感じずにはいられない出来事が今シーズン序盤に起こっていた。

それは、開幕戦オーストラリアGPで腰に負傷を負ったバルテリ・ボッタスが第2戦マレーシアGPへの出走を危ぶまれる状況となったときだ。それまで正式な控えドライバーを置いていなかったウィリアムズが、突然昨年までザウバーに所属していたエイドリアン・スーティルと控えドライバー契約を結んだのだった。

3年間ウィリアムズに所属し、開発ドライバーからテストドライバーへと階段を上ってきたヴォルフにとって、このドライバー人事はさすがにショックが大きかったようだ。

メルセデスのモータースポーツ責任者であるトト・ヴォルフを夫に持つヴォルフも、その後、もう自分にはF1ドライバーになるチャンスはないように思えるとの発言も行っていた。

ヴォルフは4日(水)に、今月の20日(金)と21日(土)にロンドンで開催されるレース・オブ・チャンピオンズへの参加を最後にレースの世界から身を引くことを明らかにし、『Huffington Post(ハフィントン・ポスト)』のブログに次のように書いている。

■13歳からの夢はかなわずに終わった

「13歳のときに、F1を目指そうという夢を持ちました」

「私は(F1の)スターティンググリッドにつきたいと思い、そのために懸命に取り組んできました。ですが、今年の初めに起こった出来事やF1が現在置かれている環境のことを考えれば、それが実現することはありません」

「新たなことへ目を向けるべきだと私の直感が告げているんです。新しい環境のもとで新しい挑戦を目指すべきときなのです。スポーツマンにとって、やめるべき時がきたと悟るのはつらいものです。ですが、私のこの旅は終わりを迎えました」

■女性F1ドライバー誕生までには時間がかかる

F1で最後に公式予選に臨んだ女性ドライバーは、1992年のジョバンナ・アマティだった。それ以来、女性ドライバーがF1レースに挑んだ実績はない。しかし、ヴォルフは、たとえ自分には無理だったかもしれないが、そのうちF1にも女性ドライバーが登場するはずだと考えている。

「F1には最高のレベルの競争力を持った女性ドライバーを迎える準備ができていると思うかと問われれば、イエスです」

「女性がそれを達成すると思うかと問われれば、絶対そうだと答えます」

「すぐにそれが実現されると思うかと尋ねられれば、残念ながらノーと答えるしかありません」

■今後はF1を目指す女性を支援したいとヴォルフ

ヴォルフは、F1に上って来られるような女性ドライバーが少ない理由として、登竜門となるカートに参戦する少女がまだそれほど多くないことや、彼女たちにとって「手本となるような人材」が不足していることを上げている。

「私は、こういう問題に取り組んでいきたいと考えています。次の世代のために支援することで何か恩返しがしたいのです。私は思い切って人とは違うことをしようとしてきました。ほかの人たちにも私と同じことをしたいと思ってもらえればと思っています」

ヴォルフが所属するウィリアムズのチーム副代表を務めるクレア・ウィリアムズは「私たちは彼女の貢献に感謝したいと思います。そして今後のさらなる活躍に期待しています」とのコメントを行った。

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