2年連続でチームメートのルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)にF1タイトルを奪われたニコ・ロズベルグだが、来季以降反撃に出るチャンスはまだ残されている。
そう主張するのは、かつてウィリアムズやマクラーレンで活躍し現在はインディカーに参戦を続けている40歳のファン・パブロ・モントーヤと、1998年と1999年にマクラーレンで2年連続F1チャンピオンに輝いたミカ・ハッキネンだ。
アメリカGPでは、ハミルトンが自身3度目のF1ドライバーズタイトルを手中に収めてみせた。今年は最終戦ダブルポイント制が撤廃されたとはいえ、今季3レースを残すところですでに10勝をあげてタイトルを確定させたハミルトンの活躍は、これからもハミルトン時代が続くであろうことを予見させるに十分なものだ。
■最強のF1カーをうまく使ったハミルトン
先週末にオースティンで開催されたF1アメリカGPを訪れ、マクラーレンのかつての仲間たちと旧交を温めていたモントーヤは、ハミルトンがこれほどの強さを見せている秘密は何だと思うかとドイツの『Welt(ヴェルト)』紙に質問されると次のように答えた。
「クルマに助けられているね」
「冗談のように聞こえるかもしれないが、僕はまじめに言っているんだ。今シーズン、彼はすでに10勝をあげている。それはチャンピオンとなるにふさわしい成績だ。だが、それはもちろんクルマのおかげなんだ」
「ルイスにはいいタイミングでいいチームを選ぶ才能があるようだね」
■ロズベルグに足りないものは?
だが、このモントーヤの説には反論も出てきそうだ。同じクルマに乗り、チーム内でもハミルトンと平等の扱いを受けているロズベルグが、ハミルトンに大きな差をつけられているのは事実だ。もしハミルトンの活躍がクルマの助けを得てのものだとすれば、ロズベルグも同じような活躍を見せても不思議ではないはずだ。
だが、2001年にウィリアムズでF1デビューを飾り、マクラーレンから離脱してF1を去ることになった2006年までに通算7勝をあげたモントーヤは、次のように続けた。
「僕はニコのほうが遅いとは思っていないよ。彼が集中し、クルマに何の問題さえ起こらなければ彼だって速いんだ。ルイスよりも速いとまでは言わないまでもね」
「今年、彼が抱えた最大の問題は予選だったと思っている」
■ロズベルグにもF1タイトル獲得のチャンスはある
それでは、ハミルトンというライバルがいるという状況の中で、ロズベルグにF1チャンピオンとなる可能性があると考えているのかと聞かれたモントーヤは、次のように答えた。
「ああ、ニコはF1チャンピオンになれるよ。僕はそう確信している」
「だが、彼は少しだけ変わる必要があるし、物事を前向きに考える必要がある。彼には勢いを変えるために今年まだ3レースが残されているし、それをうまく利用しないとならないよ」
そのモントーヤがF1にデビューした2001年シーズン限りでF1を引退していたハッキネンも、ロズベルグは2016年を視野に入れた上で今季の残り3レースに臨むことができると考えている。
「今年のタイトル争いに決着がついたことで、ニコも恐らく気楽に臨めるんじゃないかな」
ハッキネンは、自身のスポンサーである『Hermes(エルメス)』のインタビューにそう語ると、次のように続けた。
「これから、彼は来シーズンには何を変えなくてはならないかということを考え始めることができる」
「彼は、自分に速さがないのだろうかなどと心配する必要はないんだ。ただ、パズルのピースをうまくはめ合わせることだけが必要なんだ」
■今のF1も昔と変わらないとモントーヤ
一方、モントーヤは、かつてのF1はバラ色に輝いていたが、現在では誰が勝つのか予想が簡単についてしまう退屈なものとなってしまっているという意見に対し、次のような持論を展開した。
「ミハエル・シューマッハが圧倒的に強かったころのことを考えてみてよ。彼がタイトルを取るのが間違いないだろうという状況は、少なくとも今シーズンと同じくらいはっきりしていたよ」
「つまり、F1というのは常にそのとき最強のチームがレースを支配するものなんだ。それはそうとして、僕はオースティンでは素晴らしいレースを見ることができたと思っているよ。いくつかスリリングな戦いがあったからね」とモントーヤは付け加えた。