F1関係者の多くが、レッドブルがほかのエンジンサプライヤーとの間でエンジン供給に関する合意に達する前に、ルノーとの関係に終止符を打ってしまったことが、レッドブルが現在のような苦境を迎える原因となったと考えている。
だが、先週末にF1アメリカGPが開催されたオースティンで、実際にレッドブルをそういう境遇に陥れたのはメルセデスだったのかもしれないということが明るみに出た。
■当初メルセデスはエンジンを供給する約束をしていたとレッドブル
レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナー、さらにF1最高責任者のバーニー・エクレストンが語ったことによれば、当初メルセデスはレッドブルへエンジンを供給することで合意していたものの、その後それを撤回したというのだ。そしてそのときレッドブルはすでにルノーに対して関係を終了することを伝えていたというわけだ。
確かに、以前メルセデスがレッドブルへのエンジン供給の可能性を示唆する発言を行っていた時期があったのも事実だ。
「(メルセデスと)将来発表できるような話し合いが行われていたし、約束が取り交わされていた」とホーナーは主張した。
■具体的な交渉はなかったとニキ・ラウダ
だが、メルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダは、ドイツの『Bild(ビルト)』に対し、次のように反論した。
「私はおよそ3か月前にディディ(レッドブル総帥のディートリッヒ・マテシッツ)と会った」
「私は彼に対し、もし彼がメルセデスに対して反友好的かつ批判的な態度をとることを止めれば、我々はエンジンに関する交渉を行うこともできるだろうと言ったんだ。彼はそうしたいと思うと答えたよ」
「そして、その後何も起こらなかったんだ」
■ルノーとレッドブルからの明確な意思表示はなかった
メルセデスのモータースポーツ責任者であり、ワークスチームであるメルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターを兼任するトト・ヴォルフも、次のように付け加えた。
「なぜレッドブルとの協力関係が築けなかったのかということに関しては、重要なことが2つあったんだ」
「まず、メルセデスとルノーには市販車での協力関係がある。だから、レッドブルがルノーとの契約を早期解消することにした際、我々としては、ルノー側がそうしてよいとの意思表示をしない限り、我々がレッドブルにエンジンを供給するわけにはいかないと発言していたわけだ」
「2つ目はマーケティングに関することだ。我々としては、レッドブルと組むことによって今後どういうマーケティングキャンペーンを展開することができるか、レッドブル側の考えを知りたいと望んでいた」
そう述べたヴォルフは、次のように付け加えた。
「だが、それに関して何の話も出てこなかった。だから、我々としてはこの問題から手を引くという決断をしたのさ」