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エクレストンとモズレー、現在のF1に辛口コメント

2015年10月20日(火)19:59 pm

ドイツのテレビ局『ZDF』が、F1最高責任者のバーニー・エクレストンと、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)の元会長であるマックス・モズレーとの共同インタビュー番組を放送した。

今回この2人による共同インタビューが企画された裏には、この2人が手を組んで何らかの行動を起こすつもりではないかとのうわさにも火がついている。そして、すでに後任のジャン・トッドにFIA会長の座を譲ってからは6年もの月日が流れているものの、モズレーが近いうちにF1レースの現場を訪れることを計画しているようだと言われている。

■今のF1があるのはコスワースのおかげ

そのインタビューの中で、エクレストンとモズレーは共に現在のF1レギュレーションを強く批判するとともに予算制限の導入の必要性を主張。さらに、メルセデスやフェラーリといったエンジンメーカーから主導権を取り戻すことが「緊急的な課題」だとしている。

「F1は、フランク・ウィリアムズのような人たちによって築き上げられてきたものだ」

現在もチーム代表を務めるウィリアムズ設立者の名前を引き合いに出したモズレーは、次のように続けた。

「当時はエンジンサプライヤーとして独立系のメーカーであるコスワースがあり、そこにフェラーリが参入してきて彼らと戦った。時には勝つこともあれば、そうではないときもあった」

「だが、F1が現在のような形に成長できた要素のひとつは、バーニーの努力を別とすれば、それはコスワースエンジンのおかげだったと思っている」

実際にはフォードのバッジを付けて供給されたコスワースのF1用V8エンジンDFVは、1960年代から80年代にかけて通算154勝という輝かしい記録を作っている。

■ジャン・トッドFIA会長への不満を語るエクレストン

一方、エクレストンは『Independent(インデペンデント)』紙とのインタビューにおいて、レッドブルへのエンジン供給を拒んでいるメルセデスやフェラーリは、実質的にF1に身代金を要求しているようなものだと次のように主張した。

「まさに今の状況はそういうことだ。我々には独立系エンジンサプライヤーが必要だよ。私はこれに関してすでに1年半に渡って取り組んできている」

だが、それを実現するには問題もある。現在のF1ルールでは、強さを誇るメルセデスやフェラーリが保護される形となっており、現FIA会長であるトッドも、エクレストンの考えを支持する姿勢はとっていない。

エクレストンは、『ZDF』に次のように語った。

「ジャンはマックスとは少しばかり違うよ」

「彼は文句を言う者たちのことを非常に気にかけている。だが、我々は全員が満足することなど不可能だということが分かっている」

「マックスの場合は、彼が何かやりたいと思ったとき、それに1人か2人が不満を表明したとしても、そんなことは気にもしなかった」

■今のF1はメーカー主導になっているとモズレー

エクレストンの横に座っていたモズレーも、現状ではF1はメーカーの手に渡ってしまっており、彼らの取締役会によってこのスポーツが運営されているようなものだと指摘し、次のように語った。

「ツェッチェ氏(メルセデスを傘下におくダイムラー社最高経営責任者のディーター・ツェッチェ)はマルキオンネ氏(フェラーリ会長)、あるいはゴーン氏(ルノーの最高経営責任者であるカルロス・ゴーン)と話をすることができる。そして、彼らによってF1がコントロールされてしまうんだ。そんな形でF1をコントロールしてはならないよ」

「今の段階では、独立系のエンジンサプライヤーの必要性が非常に高まっているよ」

■V8復活案はチームの反対により否決

一方、エクレストンは、2016年から現行のV6ターボパワーユニットと並行して、2013年まで使用されていた自然吸気V8エンジンの使用を認めるようルール改正をすべきだと提案していた。だが、この案は先週ジュネーブで行われた会議でエンジンメーカーたちによって否決されていた。

だが、今月28日には85歳の誕生日を迎えるエクレストンは、F1ビジネスジャーナリストとして知られるクリスチャン・シルトに次のように語った。

「チームの合意を得る必要などないと思っているよ。我々はただ決定を下し、彼ら(チーム)にこう伝えればいいんだ。『気に入らなければ調停委員会へ訴えるがいい』とね」

■F1には強いリーダーシップと権限が必要

こうしたエクレストンの姿勢が、大規模チームたちに受け入れられる可能性は小さいだろう。かつて、そうしたチームが手を組んでF1とは別の世界選手権をスタートさせると脅しをかけたこともあった。

モズレーは、F1はそうした脅しに屈してはならないと主張し、次のように語った。

「彼ら(F1チーム)のハッタリに対抗する決意を持ち、確固たる姿勢で『出ていきたければかまわないが、ドアをバタンと閉めるようなまねはやめてくれ』と伝える必要があるんだ」

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