メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフが、同チームで控えドライバーを務めるパスカル・ヴェアラインが来季マノー・マルシャからF1デビューできる保証はないと語った。
メルセデスの育成ドライバーであり、2013年からDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)に参戦していたヴェアラインは、今季DTMの史上最年少チャンピオンに輝いた。
DTM以前にはヨーロッパF3選手権で活躍していたヴェアラインの最終目標はF1ドライバーとなることだ。昨年の9月にはメルセデスAMGの控えドライバーに就任すると、その後数度の公式テストに出走するなど、着実にその目標実現に向けての歩みを続けている。
うわさでは、来季からメルセデスエンジンの供給を受けることになったマノー・マルシャから2016年にF1デビューをかざることになるのではないかと言われているが、ヴォルフはエンジン供給契約を結んだとはいえ、ヴェアラインがマノー・マルシャからF1デビューできる保証はないと次のように語った。
「メルセデスエンジンを搭載し、ウィリアムズの技術協力を受けるマノー・マルシャは、いまやそのシートを高値で売ることができる状態だ」
事実、今季資金を持ち込んでマノー・マルシャのシートを獲得したウィル・スティーブンスや、スポンサーを持たないロベルト・メリーに代わってシーズン終盤にシートを確保したアレキサンダー・ロッシさえ、来季もシートを確保するために必死な状況だと伝えられている。
そういう状況にあって、「パスカルがマノー・マルシャへ行けるかどうかは決して定かな状態ではない」とヴォルフは『Speedweek(スピードウィーク)』に続けた。
「もし彼ら(マノー・マルシャ)が大金を要求すれば、それ(ヴェアラインのシート獲得)は難しくなるだろう」
ヴェアライン本人も先週、「もう1年DTMでやろうっていうことになる可能性だって大きいよ」と語っていた。
だが、ヴォルフは別の視点からヴェアラインのF1デビューのチャンスについて言及。
「だが、もし3台エントリーが実現すれば、パスカルにはもうひとつチャンスが生まれるだろうね」とヴォルフは語った。
先週末にホッケンハイムで行われたDTM最終戦で、ヴェアラインがメルセデスにタイトルをもたらしたばかりだが、F1でもメルセデスエンジンを操るルイス・ハミルトンが早ければ今週末のアメリカGP(25日決勝)で2年連続でF1チャンピオンに輝く可能性も高くなっている。
ヴォルフは、笑顔を浮かべながら次のように語った。
「F1ではコンストラクターズタイトルと、おそらくドライバーズタイトルも手中にできると思う。これに加えてDTMのドライバーズタイトルもひとつのシーズンで獲得できるなんて、これまでにはなかったことだよ」