来季もシーズン中の開発を許容する方向で、F1を統括するFIA(国際自動車連盟)とエンジンメーカーが合意したが、まだ全チームの賛同を得る必要がある。
当初のルールでは、新しいパワーユニットが導入された2014年から、徐々に開発できる範囲を狭めていく予定だった。パフォーマンス向上を目的とした変更は、2015年は32トークン、2016年は25トークンとされていたが、今回の会議では来季も32トークンで、シーズン中も開発できることで合意された。
また、開発凍結のパーツを示した「ブラックリスト」についても緩和して、一部のパーツについては再び開発できるとしている。
■使用料に上限を定める案にはフェラーリが反発
しかし、これを実現するにはルールを変更する必要があり、そのため、全チームの合意が必要となる。
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、F1撤退をほのめかしているレッドブルが反対してすべてをひっくり返すことも理論的には可能だと伝えている。
また、エンジンメーカーとの会議では、カスタマーチームに課されるパワーユニットの使用料に上限を定める案が検討されたという。そもそも開発を規制したのは、コストを抑えるためだったからだ。
FIAが提案している案では、パワーユニットの使用料を最高で年間1200万ユーロ(約16億円)、1年おちのパワーユニットの場合は年間800万ユーロ(約11億円)としている。しかし、これにはフェラーリが強く反発していると記事は伝えている。
■トークンがあっても解決策がないとルノー
開発できる範囲が広がることは、後れを取っているルノーとホンダにとっては朗報だ。しかし、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、ルノーがF1から撤退する決断を下す可能性も残っていると伝えている。
パワーユニットが向上する見込みがなければ、F1プロジェクトに数億ユーロ(数百億円)を投入することにルノーCEOのカルロス・ゴーンがゴーサインを出すこともないからだ。
記事によると、今年のルノーエンジンが昨年より後退していることが、GPSのデータから証明されているという。
また、あるルノーのエンジニアが「問題はトークンではなく、解決策だ。われわれにはトークンはあるが、解決策がない」と話したと記事は伝える。
事実ルノーは、シーズン中に使える12トークンをまだ一切使っていない。
ルノーは、シーズン残り2戦のブラジルGP(11月15日決勝)で、ようやく2トークンを使って改良したパワーユニットを投入する予定だと『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は伝える。しかし、ラップタイムの向上は1周0.1秒程度というのがルノーの予想だという。