先ごろ、財政難に苦しみ、現在のF1の資金分配方式や意思決定方式に不満を持つザウバーが、同じ悩みを持つフォース・インディアとともに欧州委員会に対して正式にF1が競争法違反を犯しているとの訴えを起こしたことが報じられた。
だが、かつて3度F1チャンピオンとなった伝説的元F1ドライバーであり、現在は最強メルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダは、ザウバーに同情の余地はないとスイスの『Handelszeitung(ハンデルスツァイトゥング)』に次のように語った。
「問題は、これまで何年もやってきているにもかかわらず、ザウバーがトップチームと争えるようなクルマを造るというハードルを越えられなかったことだ」
「モニシャ・カルテンボーン(ザウバーの女性チーム代表)は自分のやり方でチームを導いてきている。私が見たところ、これまでにはかなりの矛盾が見受けられたし、それらは限度すれすれのところだった」
「金を払ったドライバーがレースに出られなかったり、あるいは彼らのクルマがレース前に没収されてしまったりすることは本当にばかげたことだ」
ラウダが言及しているのは、今年の開幕戦が行われたメルボルンで、昨年までテストドライバーを務めていたヴァン・デル・ガルデから契約不履行で訴えられ、ザウバーが敗訴していた件であることは明らかだ。
さらに、ラウダは、今回の欧州委員会への提訴に対しても激しい批判を続けた。
「ザウバーもレース社会の一員だし、彼らもコンコルド協定(※)に調印していたんだ。そこには非常に細かいことまですべてが記載されている。ところが、彼らは突然『こんなものは無効だ』と言い出した。どうしてそうなるのか私には理解できないよ」
「F1では勝つチームもあれば、勝てないチームもある。それはほかのどんなスポーツでも同じだ」
「ずっと負債を増やし続けてきたチームが、切羽詰まったからといってシステム全体に問題があると言うことはできないよ」
そうまくしたてたラウダは、次のように付け加えた。
「その責任は自分自身で負うべきなんだ。ザウバーは、まず自らの無能ぶりをなんとかすべきだね」
※コンコルド協定とは、F1チーム、統括団体のFIA(国際自動車連盟)、F1運営会社(FOM)の3者間で結ばれた協定。F1の商業権や運営方法、利益分配などが規定されており、内容は非公開となっている。