1978年のF1チャンピオンであるマリオ・アンドレッティが、F1では今後に向けてあまり行き過ぎた改革を行わないほうがいいと警鐘を鳴らした。
近年のファン離れ現象を受け、F1では2017年からクルマのさらなるスピードアップを図るとともに、その見た目も改善していくことで合意するに至っている。
マリオは、アメリカでは非常に有名なアンドレッティ・ファミリーの家長としても知られている。息子のマイケルも1991年にインディカーのタイトルを獲得後、1993年にはF1に転向しマクラーレンでアイルトン・セナのチームメートを務めたこともある。さらに、現在は孫のマルコがインディカーシリーズで活躍中だ。
F1チャンピオンであるとともに、4度インディカー王者となり、有名なインディ500やデイトナ500の勝者という称号も持つアンドレッティだが、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に対し、今でも自分は世界最高峰のモータースポーツであるF1の大ファンだと次のように語った。
■F1は最高のテクノロジーで世界をリードするシリーズ
「F1というのは素晴らしい製品だよ」
「テクノロジーによってその格を保ち続けている。それがトレードマークなんだ」
「ファンがF1を愛するのも、それ(テクノロジー)が理由だよ」
そう語った75歳となるアンドレッティは、さらに次のように続けた。
■F1の本来の良さを失うような変化は禁物
「一般的にモータースポーツには金がかかるものだが、ときとしてF1は行き過ぎてしまうこともある。だから、時々調整することも必要なんだ」
「だが、私が言う調整とは、単に変化することを目的として違うことをやるということではないんだ。完ぺきなレースシリーズなどない。魔法の鍵などもない。だから、車輪をもう一度発明するようなまねをしても仕方がないんだ」
「そんなことになれば最悪だよ。そして、それはまさにインディカーが犯した失敗なんだ」
「彼らはそのルーツに背き、そのシリーズにはうまく合わないことを導入してしまったんだ」
■今のF1も魅力的
だが、レースという観点から見れば、F1よりも面白いシリーズがほかにもあると考えている者も少なくない。そして、インディカーもそうしたレースのひとつに挙げられることがある。
F1には何かインディカーから学べることがあるのではないかと質問されたアンドレッティは、「それは全く逆だね」と答えると、次のように続けた。
「誰もが、あまりにもメルセデスAMGが強すぎると言い、そのせいでF1がダメになっていると言っている。だが、私はそれによって素晴らしい物語が生み出されるのだと思っているよ」
「今では誰もがフェラーリが差を詰めることができるんじゃないかと注目している。ハンガリーGPやシンガポールGPでは、メルセデスAMGでさえわずかなミスさえ許されない状態となっていることが示された。ひとりのファンとして、私はそういうところが大好きなんだ」