F1第13戦シンガポールGPでは、圧勝を続けてきたメルセデスAMGが突然の不振に陥り、フェラーリが1位と3位を獲得した。
昨年末でフェラーリを離れ、マクラーレンに移籍したフェルナンド・アロンソは、古巣の今季3勝目を喜んでいる。イタリアのテレビ局『Rai(ライ)』に次のように語った。
「メルセデスAMG以外のドライバーが表彰台に立つのを見るのはいいものだ。写真を撮って壁に飾らなきゃ。メルセデスAMGは2年間圧勝してきたからね」
「フェラーリにいる友人たちのために喜んでいるよ。これが続くことを願っている」
■メルセデスAMGを上回ったフェラーリとレッドブル
もっと喜んでいるのはフェラーリのチーム代表マウリツィオ・アリバベーネだ。シーズン前には、3勝したらマラネロの丘に素足で登ると話していた。
「いや、私は“4勝したら”と言ったんだ」とアリバベーネは笑う。
「というわけで、今は5勝したいと思っているよ!」
フェラーリは、第12戦イタリアGPで投入した改良型エンジンで明らかに前進したようだ。しかし、シンガポールGPではレッドブルも明らかにメルセデスAMGを上回っていた。
「メルセデスAMGに何が起きたのか、ちょっと理解できないね」とレッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは話す。
「来週の日本GP(27日決勝)でも同じだったら、フェラーリがチャンピオンを獲得する可能性すら出てくる。とは言え、鈴鹿ではまた平常通りに戻るかもしれないけれどね」
■不振の原因究明を急ぐメルセデスAMG
もちろんメルセデスAMGはそうなることを願っている。しかし、突然不振に陥った原因は謎のままだとチーム代表のトト・ヴォルフヴォルフは認めている。
「1度限りのこととは言い切れない」とヴォルフ。「状況を分析して、原因を探らなければ」
「鈴鹿にはこの頭痛なしで行きたいね。そうすれば、残る心配は台風の可能性だけだ」とヴォルフは冗談半分に話す。
今回の不振は、ピレリが設定した高めのタイヤ空気圧が原因ではないかとも言われている。だが、当面の分析ではその影響はないとヴォルフは否定している。
またヴォルフは、これまでの圧倒的な強さに対する信頼は揺らいでいないと強調している。
「クルマの空力的なクオリティーが一夜にして消えたわけではない」
「エンジンも突然良いエンジンでなくなったわけではないんだ」
■さらに勝利を目指すフェラーリ
それはフェラーリのアリバベーネも承知している。シンガポールGPはF1の「新時代」の幕開けなのかと聞かれると、次のように答えた。
「率直に言って、私は新時代などに興味はないね」
「興味があるのは勝つことだけだ」