圧倒的な強さを誇ってきたメルセデスAMGが、F1シンガポールGP(20日決勝)で突然の失速に苦しんでいる。
シンガポールGPの予選でポールを獲得したのは、フェラーリのセバスチャン・ベッテルだった。メルセデスAMGはフェラーリとレッドブルにまったく歯が立たず、ルイス・ハミルトンが5番手、ニコ・ロズベルグが6番手に終わっている。
「セバスチャンのタイムを見たときは“なんだよこれ!?”と思ったよ」とロズベルグ。
「こんなことになるとは思ってもいなかった」
F1がV6ターボエンジンに変わった2014年以来、メルセデスAMGがここまで苦しんだことはなかった。
「圧倒的に強いクルマがあったのに、今は1.5秒も遅い。信じられないよ」とロズベルグは話す。
「さっきベッテルのオンボード映像を見たところ。まるで別のカテゴリーみたいだった」
ハミルトンも「何が間違っているのか全然分からない」と首をかしげる。
「どういうわけか僕たちのクルマではタイヤが機能していないんだ」
「いったい何なのか解明してくれとチームに発破をかけている。タイヤの空気圧のせいなのか、温度、ウォーマー、それとも車高なのか。僕も答えを求めている」
■タイヤの空気圧が影響?
シンガポールGPでも、前回の第12戦イタリアGP同様、ピレリはタイヤの空気圧を通常より少し高めに設定している。イタリアGPでは、ピレリが指定したスタート時の最低空気圧をメルセデスAMGが下回っていたため、審議が行われが、結局は不問に付された。
パドック関係者の中には、メルセデスAMGはこれまでもずっとピレリの推奨空気圧をすれすれで下回っていたのではないかと見る者もいる。シンガポールGPからチェックが厳しくなったために、苦しんでいるのではないかというのだ。
だが、チーム代表のトト・ヴォルフは否定する。「陰謀説どころじゃない。そんなのは妄想だ」
「怪しいことは何もしていない。FIAによって無罪放免になった。ピレリの規定はわれわれのパフォーマンスに何の影響も与えていない」
しかし、原因を解明することが今後に向けて不可欠だとヴォルフは話す。
「ここでのレースだけのことではない。今回もわれわれは全力は尽くすが、どちらにしろ厳しいレースになるだろう。だが、今後のレースウィークには、ここで犯したのと同じ間違いを繰り返さないことが非常に重要だ」