ロータスとF1エンジン供給メーカーのルノー、さらにレッドブルは、それぞれ異なる理由で今後の見通しがはっきりしない。
■ロータスの問題は...
ロータスにとって最大の問題は金だ。顧問弁護士たちは18日(金)、ロンドンの高等裁判所に出廷。税金の滞納により、同チームは裁判所の管理下に置かれる寸前だ。
しかし、黒と金色のマシンがシンガポールの照明を浴びながら市街地コースを走っているあいだ、本国イギリスの判事は、来週末のF1第14戦日本GP(9/25-27)決勝翌日(9/28)まで審理の延期を言い渡した。チームは、またもや処分停止を勝ち取ったのである。
もっとも、仏の顔も三度まで。判事は次のように宣言した。「これが最後の延期と思ってください」
ロータス側は、ルノーとの売買交渉がまだ続いていると主張。どうやらその言い分が通った模様だ。
■ルノーの狙いは...
なぜロータスの売却交渉は長引いているのだろう。それはルノーがバーニー・エクレストンとも話し合いを行なっているからだ。ワークス参戦のあかつきには年間賞金に手ごころを加えてもらい、チーム買い取り契約に伴う資金の足しにするのがルノーの考えである。
なかなか進まない両者の売買交渉に苛立ちを深めているのが、他でもないレッドブルだ。すでに彼らは非公式の形でルノーに、2015年以降はパワーユニット供給をご免こうむりたいと申し渡している。
■レッドブルの問題は...
レッドブルが抱える問題は、ルノーに代わる供給元だ。最高のエンジンは欲しいが、メルセデス・ベンツもフェラーリも協力してくれない。
取り分けメルセデスは、契約にはっきりとノーの姿勢である。
率直な話し方をするレッドブル首脳のヘルムート・マルコ博士はシンガポールで、少なくともフェラーリからは何らかの申し出があると次のようにドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌に語った。
「(セルジオ)マルキオンネ氏は戦士だな。(同エンジンで)われわれに勝つつもりでいるよ」
明らかにメルセデスをコケにした言い方である。彼らもレッドブルのような敵に塩を送る気はなさそうだ。その代わり、バックマーカーのマノー・マルシャとエンジン供給契約が間近と言われる。
「それとこれとは話が別だ」と言うのは、同チームのトト・ヴォルフ。「マノー・マルシャが援助を要請してきたのだ。小チームを助けられるものなら、われわれはそうする」
だがマノーはすでに型落ちのフェラーリ製ユニットを使っている。メルセデスが『B級』のエンジンを差し出したら、彼らは黙ってそれを使うことだろう。
しかし、レッドブルの場合、そうは行かないとマルコは次のように述べる。
「われわれはB級のエンジンなど受け取らない。そうなったらF1を撤退する」
これをレッドブルとトロロッソの身から出たサビと考える者は少なくない。代わりのエンジンもないのにルノーとの契約を打ち切るのは「夜、無灯火で自転車に乗る」ようなものと言うわけだ。