2016年からF1に参入するハースF1は、フェラーリと単なるエンジン供給以上の強力な提携関係にあるようだ。
ドイツのラルフ・バッハ記者は、フェラーリとハースが現在のルールで禁止されている「カスタマーカー」に限りなく近づいていると自身のウェブサイト『f1-insider.com(f1インサイダー.com)』で伝えている。
バッハによると、10月31日に、ハースF1が70人のスタッフを解雇し、11月1日からその全員がフェラーリで仕事に復帰するという。つまり、フェラーリのスタッフがハースF1に派遣されているというのだ。
11月1日は来季に向けた登録の締め切り日に当たり、ハースF1は2016年開幕戦のグリッドに確実に付けることをFIA(国際自動車連盟)に対して証明しなければならないという。
この提携関係により、ハースはフェラーリのマシンをコピーすることができ、フェラーリはハースF1の開発を名目に風洞を規定の時間より長く使用することができるとバッハは説明している。
当然、こうした動きをライバルチームが黙って見ている訳がない。メルセデスAMGとレッドブルも同様の「Bチーム」を新たに作ろうと、FIAに対してHWAとアーデンで新規エントリーを申請したが、却下されたと記事は伝えている。
■これまでと同じやり方ではうまくいかない
ハースF1のチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーは、F1公式サイトのインタビューで、フェラーリとの提携について次のように話した。
「過去10年間にこのスポーツに参入したチームの中で残っているのは1チームだけだ。それでわれわれは考え抜いた末に、ちょっと変わったアイデアを思いついた」
「近年の様子から、うまくいかないと分かっているのに、同じようなやり方を取る訳にはいかないじゃないか」
■シャシーとボディワークは独自のもの
実質的にはフェラーリのBチームなのかと聞かれると、シュタイナーはこう答えた。
「パーセンテージで言うのは難しいが、そういう方向に進んでいる」
「しかし、勘違いしないでほしい。われわれはあくまでシャシーとボディワークを独自に製造する」
ハースF1とフェラーリの関係は、市販車の世界で、提携するメーカーが「それぞれの個性は維持しながら」プラットフォームを共有するのと似ているとシュタイナーは説明する。
「時代は変わった。ステアリングラックやブレーキペダルをどこから供給されているか、もう誰も気にしない」
「だが、明らかなカスタマーカーには危険もあるというのは私も賛成だ。同じクルマばかりになってしまう恐れがある。当然、誰もが最高のクルマを欲しがるのだから」
「しかし、自分たちで空力開発を行う限り、現時点ではよい妥協策だよ」