かつて3度F1タイトルを獲得した伝説的元F1ドライバーであるニキ・ラウダが、F1をより魅力的なものとするために、あらゆることに目を向ける必要があると主張している。
近年の観客数やテレビ視聴者数の減少傾向に歯止めをかけるべく、F1では今後に向けてさまざまな改善策を講じようとの動きがでている。だが、今年のF1ドイツGPの視聴者数が昨年より増加したという報告がなされるなど、ここへきてF1人気低迷にも一定の歯止めがかかってきている傾向も見られる。
現在メルセデスAMGの非常勤会長を務めるラウダは、『Welt am Sonntag(ヴェルト・アム・ゾンターク)』紙に次のように語った。
「今年の視聴率は、メルボルン(開幕戦オーストラリアGP)以降、昨年との比較では上向きになっている。好ましい傾向だね」
しかし、ラウダは、だからと言ってF1の危機が去ったわけではなく、2017年に向けて大きくF1カーのスピードアップを図ろうとF1界全体での取り組みが続けられていると次のように続けた。
「実際のところ、8月の末に行われるベルギーGP(8月23日決勝)から導入される変更点もあるんだ」
■F1ベルギーGPからはドライバーとの交信がさらに制限
ラウダが言う変更点とは、スパ・フランコルシャンで行われるベルギーGP以降、ピットからドライバーへの情報提供が厳しく限定されることだ。これにより、F1ドライバーには自分自身でF1カーを完全にコントロールすることが求められるようになる。すでにその詳細については、統括団体であるFIA(国際自動車連盟)からチームに対して通達が行われている。
「レース開始前のフォーメーションラップから、チームからドライバーへの連絡は最小限にとどめられるだろう」
そう語ったラウダは、次のように続けた。
「これは、クルマをゴールさせるためにはどうすることが最善なのかという判断を再びドライバー自身に委ねることを目指すものだ」
「(チームからの)指導や干渉といったものがなくなれば、観客にとってもドライバーの役割というものがさらに明確になるだろう」
■小規模チーム支援も視野に
ラウダはさらに、2017年まで待たずにF1にさらなる変化が起こることもあり得るだろうと考えている。
「2017年には、まったく新しいF1カーが登場するだろう。だがそれまでの間にも、さらに単純化し、改善ができることがあれば、我々はそれを行っていくことになるだろう」とラウダ。
そうした改善策のひとつと考えられているのが、財政難に苦しむ小規模F1チームたちの状況改善につながるものかもしれない。だが、先週報じられたところによれば、メルセデスとフェラーリは、FIAが計画しているエンジン供給コストに上限を設けるという案に反対しているという。
しかし、ラウダはこれに関して次のように主張した。
「我々は十分な資金を持っていないチームを支援しなくてはならない。もっと安価なエンジンを製造する必要がある。そして、そのための話し合いにはメルセデスとしても積極的にかかわっているよ」
「メルセデスもほかのみんな同様に、レースをさらに面白いものにすることに興味を持っているからね」
■改善の余地は至る所に
ラウダはさらに、現行のピットレーンでのスピード制限を緩和することで、さらにF1レースの面白みを増すことができるはずだと次のように持論を展開した。
「ピットレーンでのスピード制限は時速150kmに引き上げるべきだよ。モナコやシンガポールを除けば、現在のピットレーンは高速道路と同じくらいの広さがあるんだからね」
「F1をより魅力のあるものとし、さらに速く、単純なものとするためにはすべてのことを再考する必要があるんだ」とラウダは主張した。