ザウバーのチームマネジャーを務めるベアト・ツェンダーが、導入が検討されている「スプリントレース形式予選」は、F1を向上させるための正しい答えにはならないと主張している。
最近、F1の意思決定機関であるストラテジー・グループの会議において、F1の魅力をさらに高めるためにグランプリの構成要素を劇的に変化させ、これまでとは異なる予選方式の導入なども検討されていることが明らかとなっていた。
伝えられるところによれば、現在の予選方式を撤廃し、土曜日には短い「スプリントレース(短距離レース)」を行い、その順位に基づいて日曜日に行われる決勝のスターティンググリッドを決定するという案も検討課題のひとつになっているという。
だが、ツェンダーはドイツの『Speedweek(スピードウィーク)』に次のように語った。
「土曜日にスプリントレースをやってはどうかという議論は特に新しいものではない」
「だが、グリッドを決めるためにスプリントレースを導入したところで、結局何が変わると言うんだい?」
「どちらにしても同じことさ。メルセデスAMG、フェラーリ、そしてウィリアムズが上位グリッドを占めることに変わりはないだろう」
「何かを大きく変えたいと思うなら、フラビオ・ブリアトーレ(元F1チーム代表)が提案しているように、リバースグリッドを導入するほうがいいだろうね」
リバースグリッドとは、決勝レースでの面白みを増すために、予選で速いタイムを刻んだドライバーを一定のルールのもとにグリッド後方に下げるという方法だ。現在は世界ツーリングカー選手権などでこうした予選方式が採用されている。
「だが、それがパフォーマンスやスポーツにとってどういう意味があると思う?」
そう続けたベンダーは次のように付け加えた。
「まったく何もないよ。人為的だし、F1の基本的理念には反するものだ」
ツェンダーが所属するザウバーは、ストラテジー・グループの構成メンバーには加えられていない。だが、唯一の女性チーム代表であるモニシャ・カルテンボーンは、F1に変化がもたらされることは歓迎だと次のように語った。
「私たちはその話し合いに加わっていませんので詳細なことは分かりません。しかし、ストラテジー・グループで決定されたことを読む限りにおいては、正しい方向へ向かおうとしているように見えます」
「私たちにとって、戦いが再び面白いものとなることが重要なんです。ファンやパートナーたちもそれを望んでいますし、そうした方向へ向かいつつあるように思えますね」とカルテンボーンは付け加えている。