マクラーレンにとってはホームレースとなる今週末のF1イギリスGP(5日決勝)だが、またも厳しいレースになる見込みが強くなってきている。
ここまでホンダエンジンのパフォーマンスや信頼性不足により予想以上の苦戦を強いられているマクラーレン・ホンダだが、第7戦カナダGPと第8戦オーストリアGPではいずれも2台ともリタイアで終えていた。
「こういう形でイギリスGPを迎えることを望んでいたわけでは決してない。だけど、オーストリアの(エンジン交換によるペナルティー)理由は、シルバーストンでペナルティーを受けたくなかったからなんだ」とイギリス人ドライバーのジェンソン・バトン。
バトンはオーストリアGPでは規定外のエンジンコンポーネント投入により、合計で25グリッド降格というペナルティーを科されていた。
さらに、オーストリアではフェルナンド・アロンソにも同様に25グリッド降格が科され、2人を合計すると50グリッド分のペナルティーを受けるという前代未聞の事態となっていた。
■アロンソのパワーユニットにダメージ
だが、そのマクラーレン・ホンダではまたイギリスGPでもペナルティーを受ける可能性が高くなっている。
アロンソは、オーストリアGPの1周目にキミ・ライコネン(フェラーリ)のスピンに巻き込まれて激しくクラッシュしていた。ホンダは30日(火)に、それによってアロンソのMP4-30に搭載されていた新品のエンジンがダメージを負っていたことを明らかにした。
イギリスでアロンソがまた新しいエンジンを搭載することになれば、当然ながら最低でも10グリッド降格ペナルティーを受けることになる。
ホンダF1プロジェクト責任者の新井康久は次のように語った。
「両方のパワーユニットをファクトリーに戻して検査を行ったところ、フェルナンドのパワーユニットには事故によるダメージがあることが分かった。これにより、再びエンジン交換が必要となるかもしれない」
さらに、オーストリアGPでのバトンのリタイア原因に関しては「まだ調査中」だという。
■イギリスGPには新たな空力改良パーツも
オーストリアでは、新ショートノーズを装着した「Bスペック」と呼んでも差し支えないほどの改良が加えられていたアロンソのMP4-30だが、レーシングディレクターのエリック・ブーリエによれば、シルバーストンにはさらに改良が加えられた空力パーツが投入されることになるという。
しかし、バトンは今週末のイギリスGPが楽なレースとはならないだろうと考えている。
常にサーキットに帯同してきていた父親のジョンが他界してからすでに1年半がたったバトンだが、もしジョンが今も生きていたとしたらマクラーレン・ホンダの首脳陣にどういうアドバイスをしていたと思うかと質問されたバトンは、ほほ笑みを浮かべながら次のように答えた。
「彼だったらなんと言うかなんて誰も知りたくないだろうし、チームも知りたくないと思うよ」
「僕がポールポジションをとったときには、彼が僕のエンジニアに向かってこう言っているのを聞くのが大好きだったよ。『ここからなら楽勝だ。しくじるんじゃないぞ』ってね」とバトンは付け加えた。