2015年F1シーズンに先がけてフェラーリからマクラーレン・ホンダに移籍したフェルナンド・アロンソ。彼は当時から苦戦を覚悟していた。
WEC(世界ラリー選手権)の英雄で今季トロロッソからF1にデビューしたカルロス・サインツと同名の父、カルロス・サインツさんが母国スペインの日刊スポーツ紙『Marca(マルカ)』に明かしたもの。
サインツさんは53歳。トヨタとスバルで1度ずつWRCを制覇。現役を引退した今は悠々自適の生活だが、先日サッカーをプレイ中にアキレス腱を痛め、レッドブルクリンクへは松葉づえ姿で姿を見せている。
F1第7戦カナダGPもリタイアに終わったアロンソだが、彼はレース中、今季初めてイライラを表に出した。チームは自分を「素人」に見せかけていると言い放ったのだ。
一方でサインツさんは、「フェルナンド(アロンソ)はもっと長期的視野に立って考えている」と言うのだ。
「今季の苦戦は避けられないと彼には分かっていた」
不振から立ち直ったフェラーリをわざわざ離れたアロンソを巡っては、地元スペインのファンを中心に移籍失敗説が叫ばれている。
「ベストの選択を行うのは、決して簡単ではない」とサインツさん。「未来が透けて見える水晶球なんて、誰も持っていないのだ」
「ただ、フェルナンドには新たな挑戦が必要だったように思う。次のモチベーションだ。彼ほどの成功を収めた者にとって、チームの存在は非常に重要だ。自分の家のように、落ち着いてハッピーでいたい」
「その点で彼は、マクラーレンに居心地のよさを感じていると思う」
しかし、もし2016年もマクラーレン・ホンダに大きな進展が見られないときは、アロンソの「平常心」がどれほどのものか試されるとサインツさんは話す。
「フェルナンドは言っていた。今年は苦戦に耐えよう。だが来年は勝てるマシンが手に入るものと思っていると」
「私が思うに、もし2016年のマシンで選手権争いができないときは、受け入れがたい状況に陥るだろう。だが、現状はまだ彼の予想の範囲内に収まっているものと思う」
だが、もしアロンソの思い違いだったら、その冒険心は再び大きな頭をもたげるだろう。現に今年マクラーレン・ホンダは、ルマン24時間レース参戦を希望したアロンソに対し、契約を盾に突っぱねたというのだ。
サインツさんは次のように言う。「フェルナンドは素晴らしいドライバーだ。それは生涯変わらないだろう。同時に、勝ち気な彼は冒険に目がない」
「しかし、彼にF1を辞めるつもりはないだろう。私はそう思う」