F1オーストリアGP(21日決勝)に新しいショートノーズを持ち込むと伝えられていたマクラーレン・ホンダだが、実際にフェルナンド・アロンソがそのショートノーズを装着して走行したのはフリー走行2回目に入ってからだった。
【結果】F1オーストリアGPフリー走行2回目の順位、タイム差
そのショートノーズを装着して行ったソフトタイヤでの走行ではトップ10圏内のタイムを刻んでみせていたアロンソ。だが、その後の走行を取りやめたアロンソはスーパーソフトタイヤでの走行は一度も行うことができず、結局その新ショートノーズのテストも十分に行うには至らなかった。
マクラーレンのこのショートノーズは、統括団体であるFIA(国際自動車連盟)によって義務付けられているクラッシュテストになかなか合格できなかったと報じられていた。
■新ショートノーズ投入に手間取った理由は?
そして、マクラーレンが19日(金)に行われたフリー走行1回目からこのショートノーズを投入しなかったのには、どうやら理由があったようだ。
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』が伝えたところによれば、マクラーレンのレーシングディレクターであるエリック・ブーリエが、「それを使うためにはまだいくつかの事務手続きが残っていたんだ」と認めたという。
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』によれば、FIAのクラッシュテストに合格していたショートノーズは、実際にオーストリアに持ち込まれたノーズとは別のバージョンだったのだという。
事実、19日にはマクラーレン・ホンダのガレージでFIAの技術担当責任者であるジョー・バウアーの姿が目撃されていた。
F1関係者の間には、クラッシュテストに用いられたモノコックは、本来はマクラーレンがホームレースとなる次戦イギリスGP(7月5日決勝)に持ち込む予定にしている軽量化が図られたバージョンだったようだとのうわさもささやかれている。
ブーリエが言う事務手続きの中には、今回持ち込んだショートノーズが、実際にオーストリアで使用されるモノコックに装着された状態でクラッシュテストに合格したものであることを証明することも含まれていたようだ。
いずれにせよ、ブーリエもマクラーレンではオーストリアに向けて今季型車MP4-30を大きく改善してきたことを認めている。
「これは新しいクルマだよ」とオーストリアで語ったブーリエは、次のように付け加えた。
「我々が手を付けなかったのはサイドポッドだけだ」
■オーストリアGPはテスト以上のものではないとアロンソ
だが、その新しいMP4-30も、まだオーストリアで輝きを放つには至っていない。19日のフリー走行でも信頼性の問題が発生し、走行時間を大きく失ってしまったマクラーレン・ホンダだが、フェルナンド・アロンソは5基目のエンジン搭載により決勝ではグリッド降格ペナルティーを受けることもほぼ確実だ。
しかし、来週レッドブルリンクで行われる公式テストにも参加する予定となっているアロンソは、「今回(オーストリアGP)も僕たちにとってはテストなんだ」と主張し、次のように語った。
「土曜日の予選で僕たちに何ができるか様子をみることになる。だけど順位なんて関係ないんだ」
「僕たちは今週末すべてをテストとして位置付けているんだ。クルマには多くの改良パーツが備えられているし、検証すべきこともたくさんあるからね」
そう語ったアロンソは、次のように付け加えた。
「もし日曜日(決勝)にそれに対する答えを得てレースを終えることができれば、僕たちにとってはすべてうまくいったと言えるよ」