前戦F1カナダGP(第7戦)では2台ともにマシントラブルによるリタイアに終わったマクラーレン・ホンダ。だが、フェルナンド・アロンソはチームがそんなことで「あきらめたりはしない」と主張した。
今季、開幕から予想以上の苦戦を強いられているマクラーレン・ホンダだが、レースを追うごとに着実な進歩を遂げてきていた。だが、長いストレートがあるカナダのジル・ビルヌーブ・サーキットでは、その歩みがいったんストップしてしまった。
レース中には、チームから燃料をセーブするよう求められたアロンソが、自分が「アマチュア」に見えるようなまねをさせるなとチームに食ってかかるなど、さすがにここへきて不満がたまっていることを示す一幕もあった。
しかし、マクラーレンのCEO代理を務めるジョナサン・ニールは、そうした発言を行ったアロンソをとがめるようなことはしなかったという。
「いや、そんなことはまったくない。私は彼の姿勢は好ましく思っている」
そう主張したニールは、次のように続けた。
「我々はこれまであまりにも控えめで穏やか過ぎたんだ。ありのままを伝えるべきだ。我々はそういうふうにしていくべきなんだ」
事実、カナダでの一歩後退という事態を受け、マクラーレンではホンダの改善がさらにスピードアップするよう支援することを申し出たと伝えられている。複雑な「パワーユニット」時代への適応に苦戦しているパートナーのホンダに対しても、遠慮をせずに言うべきことは言うほうがいいという考え方にマクラーレンが切り替えたのかもしれない。
マクラーレンでは、今週末のオーストリアGP(21日決勝)に、ショートノーズを施した新たなボディーワークによる改良型MP4-30を投入することになっている。だが、アップダウンが多く、エンジンパワーの優劣が大きな差となって現れるレッドブルリンクは、非力なホンダエンジンを搭載するマクラーレンにとってはやはり苦戦が避けられないだろうと考えられている。
そればかりではない。マクラーレンのレーシングディレクターを務めるエリック・ブーリエは、改良部品を「戦略的に投入する」ことも考えていると語っていた。これは恐らく今季5基目となるホンダエンジンの投入を意味するものであろうと考えられている。そうであれば、オーストリアではグリッド降格ペナルティーも科せられてしまうことになる。
アロンソも、カナダでの結果には失望したことを隠していない。
「モントリオールは、サーキットの特性からして僕たちにとっては厳しいレースになるだろうと思っていた。だけど、2台ともリタイアとなったのはやはり残念だったよ」
オーストリアGPに向けたチーム公式リリースの中でそう語ったアロンソだが、だからといってこのままあきらめたりはしないと次のように付け加えている。
「だけど、ひとつのレースが計画通りに行かなかったからといって、それであきらめるということにはならないよ。これからもレースごとに大きな進歩を遂げていくと思っているし、オーストリアでもそうできることを期待しているよ」