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ヒュルケンベルグのル・マン優勝がF1に与える影響は?

2015年06月15日(月)20:10 pm

フォース・インディアのドライバーとしてF1にフル参戦する傍ら、今年のル・マン24時間レースにチャレンジしたニコ・ヒュルケンベルグが、見事初参戦で初優勝に輝いた。

これまでF1で84レースを戦ってきた経験を持つ27歳のヒュルケンベルグは、有名なル・マン24時間レースにポルシェから初参戦。予選3番手からスタートしたヒュルケンベルグが乗るポルシェ919ハイブリッド19号車は、ライバルのアウディや、昨年からポルシェに所属していた元F1ドライバーであるマーク・ウェバーの乗る17号車らを押さえ、見事にトップでチェッカーを受けた。

「これまでの自分のキャリアや、恐らく人生を通じても最高の日だよ」と語ったヒュルケンベルグは、次のように付け加えた。

「来年もまた戻ってきたいと思う」

■ヒュルケンベルグ優勝でF1とWEC比較論も活発に

今季、F1ドライバーとして全レースに参戦しながら、かけもちで有名なル・マンへの挑戦を決めたヒュルケンベルグについてはすでに多くの注目が集まっていた。

ツイッターのF1公式アカウントにも、「おめでとう、ニコ・ヒュルケンベルグ。F1現役ドライバーとしてル・マンを制したのは24年ぶりだ」とのメッセージがツイートされている。

実際のところ、現在のF1は人気が下降線をたどっており、関係者の間では今後に向けていかにF1の魅力を再構築していくかということが議論されている状態だ。

今回、現役F1ドライバーがル・マン24時間に参戦し、そこで勝利を収めたというニュースは、ポルシェ、アウディ、そしてトヨタといった世界の大自動車メーカーたちが参戦することで人気の高まりを見せているWEC(世界耐久選手権)をさらに魅力的に見せるきっかけとなるかもしれない。

■自動車メーカーの視線はWECに

2014年から新たなV6パワーユニットを採用したF1だが、この新しいレギュレーションは自動車メーカーにとっても魅力のあるものとなると考えられていた。だが、実際にそこに加わったのはホンダのみだった。一方で、かつてF1にエンジンを供給していたフォードも、来年からWECにGTカーで参戦することを表明している。

イギリスの『Times(タイムズ)』は、「F1はよく考えるべきだ」とし、次のように続けている。

「(F1には)ホンダが参入しただけだ。その一方で、ポルシェ、トヨタ、日産、そして今度はフォードまで、みんな世界耐久選手権に加わっている」

■WECを称賛するドライバーたち

さらに、WECは世界的なドライバーたちからも最高のシリーズであるとの評価を受けるようになっている。

ヒュルケンベルグは、『f1-insider.com』に次のように語った。

「“耐久レース”とは言うものの、実際には短距離レースなんだ。僕たちはピットストップから次のピットストップまでF1以上に攻め続けているよ」

率直な物言いで知られるウェバーも、F1が「ついに自分自身に目を向け」、2017年以降さらにクルマのスピードアップを図ろうとしていることで安心したと語っている。

「彼ら(F1)にはそうすることが必要だよ」

『Telegraph(テレグラフ)』にそう語ったウェバーは、次のように続けた。

「僕は主にドライバーの観点から考えているんだ。彼らにはものすごい経験ができるチャンスが与えられるべきだよ。彼らが速さを見せ、危険を冒し、限界ギリギリの走りができることに満足できるようであれば、ファンだってそれを愛するはずだ」

「現時点では、そうはなっていないね」

さらにウェバーは、WECの最高峰カテゴリーであるLMP1に出走するプロトタイプカーは、ものすごく「運転しがいのある」クルマだと次のように続けた。

「ものすごく速いんだ。5、6年前のF1に匹敵するレベルだよ。もちろん、タイヤをいたわることに悩まされるというようなこともないし、素晴らしいよ」

■今後、F1からWECへのドライバー流出が増加?

今後F1が抱える大きなリスクに、今後ヒュルケンベルグや、ウェバーの後を追ってWECへ転向することを考えるドライバーが出てくることがあるだろう。

『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』のトビアス・グルーナー記者は、「ポルシェではヒュルケンベルグとともにアロンソ(マクラーレン)をル・マン24時間で3台目のクルマに乗せたがっていたことを思い出す必要がある。だが、ホンダがその許可を与えなかったんだ」と書いている。

さらに、元F1ドライバーであり、今年のル・マン24時間レースにアウディから出走して4位となったルーカス・ディ・グラッシも、今後F1からWECへのドライバー流出が進むのは間違いないだろうとブラジルの『Globo(グローボ)』に次のように語っている。

「単純な話さ。自動車メーカーが投資を行っているモータースポーツには最高のドライバーたちが集まるものなんだ。そうしたところでは給料もいいし、人材などもそろっているからね」

「さらに(自動車メーカーが)F1を離れ、ここ(WEC)へ参入してくれば、トップドライバーたちだってこちらへと移ってくるさ」とディ・グラッシは付け加えた。

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