マノー・マルシャが、来季からホンダエンジンを搭載するのではないかとのうわさが報じられている。
F1エンジンサプライヤーとして今季F1復帰を果たしたホンダだが、今季はかつてともに栄光の時代を築いたマクラーレンへワークスエンジンの供給を行うのみとなっている。
だが、ホンダのF1プロジェクト総責任者である新井康久は、今年2月には2016年以降ほかのチームへエンジンを供給する可能性を示唆し、次のように発言していた。
「もし我々のエンジン、あるいはパワーユニットを使いたいというチームがあれば、供給することは可能だ」
だが、その後迎えた開幕以来、ここまでホンダにとっては非常に厳しい状態が続いている。現時点でのホンダのV6パワーユニットは信頼性とパフォーマンスの両面で大きく後れをとっている状況だ。
しかし、ドイツの『Speedweek(スピードウィーク)』が、マノー・マルシャが来季からホンダエンジンの供給を受ける可能性があると報じている。
昨年の経営破たんから立ち直ったマノー・マルシャでは、現在は今季のルールに合わせて改造した昨年のシャシーに、フェラーリの2014年仕様エンジンを搭載している。
■ベルやフルバットの獲得はマクラーレンとの関係強化への伏線?
そのマノー・マルシャでは最近、かつてルノーF1やメルセデスAMGで技術責任者を務めていたボブ・ベルをアドバイザーとして迎えたことを発表。さらに、トロロッソで2013年までチーフデザイナーを務めていたルカ・フルバットとも契約を結んだことも明らかとなっている。フルバットは、以前マクラーレンで10年間過ごした経歴を持ち、2011年型車のプロジェクトリーダーを務めていたことでも知られる人物だ。
マノー・マルシャの社長を務めるグレアム・ロードンは、「我々は急速に再構築を行っている」とし、フルバットに関して次のようにコメントしている。
「ルカはものすごく多くの経験を持っている。それによってこのビジネスにおける設計面が強化されることになるだろう」
■目が離せないマノー・マルシャとマクラーレンの関係
マノー・マルシャとマクラーレン・ホンダとのうわさは最近始まったものではない。債権者のひとりとしてマノー・マルシャの復活にも協力しているマクラーレンだが、ゆくゆくはマノー・マルシャを自分たちの「Bチーム」にするつもりではないかともささやかれている。
マクラーレンでは、こうしたうわさに対しては否定を行っているものの、昨年末に出されたマルシャの経営破たんに関する書類によれば、マノー・マルシャはその時点で1,100万ドル(約13億6,000万円)の負債をマクラーレンに対して抱えていたという背景があることも忘れてはならないだろう。
さらに、マクラーレンとしては自分たちの育成ドライバーであるケビン・マグヌッセン(控えドライバー)やストッフェル・ファンドールネ(テストドライバー)にF1レースシートを獲得させたいと強く望んでいるとされている。
もし、マノー・マルシャがマクラーレンの実質的な「Bチーム」となれば、昨年マクラーレンからF1デビューを飾りながら、フェルナンド・アロンソの加入によりまた控えドライバーにステップダウンしてしまったマグヌッセンや、今季のGP2シリーズにおいて現時点でポイントリーダーとなっているファンドールネにそのシートが与えられるということになりそうだ。
最近ではルノーとの関係もうわさに上ったマノー・マルシャだが、今後の動向に目が離せなくなりそうだ。