元F1ドライバーのロバート・クビサが、親しい友人だったフェルナンド・アロンソが行ったマクラーレン・ホンダへの移籍という決断を支持した。
昨シーズン限りで5年間在籍したフェラーリを離脱し、マクラーレン・ホンダへの移籍を決めたアロンソ。だが、フェラーリが大きな復調ぶりを示す一方で、ここまで信頼性とパフォーマンス両面に課題を抱えるホンダエンジンに苦しめられるという状況が続く中、その判断は明らかに間違っていたと指摘する者も少なくない。
だが、アロンソは、赤いレーシングスーツを着たまま「ずっと2番手」でいることを望んではおらず、メルセデスAMGを打ち破るためにはマクラーレン・ホンダのプロジェクトに加わることが最善の判断だったのだと主張し続けている。
■アロンソが何を言おうと自由だとチーム首脳たち
そうしたアロンソのコメントについてどう思うかと質問を受けたフェラーリのマウリツィオ・アリバベーネ(チーム代表)は、F1公式サイトに次のように答えている。
「誰でも自分の言いたいことを言うことはできる」
「彼のコメントは(フェラーリに対して)あまり礼儀正しいものではないが、私は気にもしていないよ」
だが、アロンソはカナダGP決勝において、所属するマクラーレン・ホンダに対しても無礼とも言える対応を行っていた。レース中に無線で燃料をセーブするよう求められたアロンソは、それを拒絶し、そんなことをすれば自分が「アマチュア」のように見えてしまうと言い放っていたのだ。
しかし、マクラーレンの最高経営責任者代理を務めるジョナサン・ニールも、アロンソがそうした発言を行ったことについて寛容だ。
「フェルナンドはすごいやつなんだ。彼はダイナマイトのような人間だし、彼が自分の気持ちを口にしたいと望めば、我々はそれをとがめるつもりはない」
「私は、進歩というものは分別のある人間によってもたらされるものではないと強く信じているんだ。それなのにドライバーには分別を期待しろと言うのかい?」
■ドライバーには常に挑戦が必要だとクビサ
アロンソに関しては、必ずしも性格のよい人物だとは受け止められていない。そして、マクラーレン・ホンダがなかなか結果を出せない状況が続く中、ついにアロンソの忍耐が途切れ、その本性が現れ始めたようだと考えている者もいる。
だが、かつてF1パドックにおいてはアロンソと非常に親しかったことで知られるクビサが、アロンソのマクラーレン・ホンダ移籍を支持する発言を行った。
「誰でもそうだと思うけど、ドライバーには特に、新しいことへの挑戦が必要なんだ」
2011年シーズン前にラリー中の事故で大けがを負いF1ドライバーとしてのキャリアを終えてしまったクビサは、イタリアの『Sky(スカイ)』にそう語ると、次のように続けた。
「フェルナンドがフェラーリに加入したときには、僕も含め、誰もが彼がF1タイトルを取るだろうと思っていた。だけど、そうはならなかった」
「だから、彼としては新たな発想と異なる方法を探すしかなかったんだ」
「彼は今、すごく壮大なチャレンジを行っているんだ。だけど、ほかのどんな大きな挑戦でもそうだけど、フィニッシュラインに到達できれば、より大きな満足が得られるものだよ」
現在は、自らのチームを擁してWRC(世界ラリー選手権)に挑戦しているクビサは、次のように付け加えた。
「それにはリスクもある。だけど彼も最強レベルのドライバーなんだ。ここ数年は彼が最強ではなかったにしてもね」