レッドブルは、いまだ出口が見えない長いトンネルの中にいるようだ。
【結果】F1カナダGP決勝の順位、タイム差、周回数、獲得ポイント
2010年から2013年までF1タイトルを4年連続で手中に収めた王者レッドブルだが、昨年新パワーユニットが導入されてからは一気に衰退の様相を呈している。
そして、先週末のF1カナダGP(第7戦)では、ジル・ビルヌーブ・サーキットの長いストレートでその弱点をさらけだしていたのは誰の目にも明らかだった。
■不満が募るリカルド
常にほほ笑みを絶やさないことで知られているダニエル・リカルドの顔も、さすがに最近は曇りがちだ。
レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは次のように語った。
「ダニエルは週末を通じてずっとペースを上げられずにいた。そんなことはこれまでほとんどなかったんだけどね」
モントリオールでリカルドのコメントは、そのほとんどにレッドブルに対する批判が込められており、チームに対する忍耐が途切れ始めている様子が明らかに伝わってくるものだった。これにより、リカルドがほかのチームへの移籍を考え始めているのではないかとの見方が一気に強くなってきている。
「彼のコメントは、少しいら立ちが現れただけだと思うよ」
ホーナーはそう主張すると、次のように続けた。
「昨年はここで優勝したにもかかわらず、今年はチームメートにすら敗れてしまったんだから、それも無理のないことさ」
■シャシーは着実に進化しているとホーナー
リカルドは、搭載するルノーエンジンのパフォーマンスや信頼性の低さに苦しめられているだけでなく、レッドブルのシャシー開発も行き詰まっているとコメントしている。だが、ホーナーはこれに対しては次のように反論している。
「シャシーに関しては進展が見られるし、第2戦マレーシアGP以降はそれを目の当たりにしてきている」
「我々にとって良い面は、2週間ごとにクルマに改良パーツを投入することができることだ。エンジンの開発にはもっと時間がかかるがね」
■おひざ元でのレースはさらに厳しいものに?
次のレースは、レッドブルにとっては特に重要なものとなる。世界的エナジー飲料メーカーであるレッドブル社の名前が冠されたレッドブルリンクで開催されるオーストリアGPは、単にレッドブルにとってのホームレースであるばかりでなく、レッドブル自身がレースをプロモートしていることでも知られている。
だが、レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは悲観的だ。
「シュピールベルク(レッドブルリンク所在地)は、我々にとってさらに難しいものとなるだろう」
『APA通信』にそう語ったマルコは、次のように付け加えた。
「サーキットは、かなり長いストレートに向けてタイトなコーナーをいかに加速しながら駆け抜けることができるかにかかってくるところだからね。それに対して、我々が現在抱えているエンジンの状況は、これ以上ないほど最悪だよ」