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モナコGPで大失態のメルセデスAMG、その原因は

2015年05月25日(月)21:30 pm

F1第6戦モナコGPでメルセデスAMGはチームの戦略ミスによってルイス・ハミルトンの優勝を奪ってしまった。

ハミルトンはモナコGPで大差をつけてリードしていたが、終盤にセーフティカーが導入された際、ピットインしてタイヤ交換することを選択。ところがその間にチームメートのニコ・ロズベルグとフェラーリのセバスチャン・ベッテルに先行を許し、結局3位フィニッシュに終わった。

■後続がピットインしたと勘違いしたハミルトン

トップを快走していたドライバーをピットインさせるというメルセデスAMGが取った奇妙な決断について、ハミルトン本人はレース後の記者会見でこう説明している。

「(コース脇の)スクリーンでチームが(タイヤ交換の用意で)出ているように見えて、ニコがピットインしたんだと思った。当然、僕には後ろのドライバーが見えないから、後ろはピットインしたと思ったんだ」

「チームはステイアウトしろと言った。僕は“タイヤの温度が下がる”と言ったんだ」

「僕は、ほかのドライバーはオプション(スーパーソフト)タイヤにするだろうと踏んだ。僕は硬い方のタイヤだった」

「チームからピットインしろと言われて、僕は何も考えずに入った。ほかもみんな同じことをしていると完全に信じ込んでいたんだ」

確かにセーフティカーでスローダウンした際に「タイヤが冷え切った」とチームメートのニコ・ロズベルグも話している。

■原因はGPSがないこと、バーチャルセーフティカーも

メルセデスAMGチーム代表のトト・ヴォルフは、各車の位置を示すGPSのデータがモナコでは使えないことが戦略担当の混乱を招いたと説明している。

「モナコではGPSがない。それで仕事全部がいっそう難しいものになる」とヴォルフ。

だが、FIAの競技委員長チャーリー・ホワイティングはこれを否定している。

「ここではチームは代替のシステムで仕事をしている。コース沿いに配置した20の誘導ループを元にしたものだ」とホワイティングは『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に話している。

また、セーフティカーが導入される前に、バーチャルセーフティカーの指示が出たことにも足をすくわれたとヴォルフは話す。バーチャルセーフティカーが今年初めて適用されたことで、コンピュータのアルゴリズムが誤った計算結果を出したというのだ。

■犯人捜しも陰謀説も不適切

「スタッフを解雇したり、犯人捜しをしたりするのはまったく間違っている」とヴォルフは話す。

モナコGPには親会社であるダイムラー会長ディーター・ツェッツェも来ていた。そのため、同じドイツ人のロズベルグが勝つところを見せようとしたのだ、などという「陰謀説」を唱えるファンもいる。

それはまったくの間違いだとヴォルフは念を押した。「本当だ、ミスター・ツェッツェはこの状況にひどくご不満だった」

■改善が必要とラウダ

とは言え、当然ながらレース直後からチーム内で検証が行われている。メルセデスAMGの非常勤会長ニキ・ラウダは、チームには改善すべき点があると話す。ドイツの『Bild(ビルト)』紙が伝えた。

「戦略責任者のジェームズ・バウルズは自分がミスを犯したと認めている。われわれ全員がミスを犯した」とラウダ。

ラウダは、複雑な状況下でより良い意志決定が行われるよう、手順を整理する必要があると話す。

「私はいつも無線を聞いているが、以前にもう警告していたんだ。というのも、本当に大勢が話しているからだ。戦略担当がみんなでベラベラとしゃべっているときは、誰かが決断を下す必要がある」

「それはパディ・ロウの仕事だと私は思う」とラウダは話している。

■「“おごり”からくるもの」とフェラーリ

フェラーリのチーム代表マウリツィオ・アリバベーネは、メルセデスAMGのようにピットインする選択は検討しなかったと話す。

「彼(ハミルトン)が入ってきたのを見て、思わず“カスピタ”(イタリア語で驚きを表す言葉)と言ったよ」

「何かの演出なのかと思った。だが、あれは“おごり”からくるものだ。自分たちは頭がいいと思っていると、賢明であることを忘れてしまうものだ」とアリバベーネは話している。

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