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今後の進展に注目が集まるF1カスタマーカー問題

2015年05月25日(月)16:44 pm

F1が、今後「カスタマーカー」導入に向けて猪突(ちょとつ)猛進で突き進みそうな気配だ。

ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、ロータス、フォース・インディア、ザウバー、そしてマノー・マルシャの4チームは財政的に非常に厳しい状況に置かれており、今シーズン中に破たんの危機を迎えてもおかしくない状況だと報じている。

F1最高責任者であるバーニー・エクレストンが、F1に「同一シャシー、同一エンジン」制度を導入すべきだと主張しているのも、そうした小規模チームの生き残りを視野に入れてのことだ。

エクレストンが提唱している計画によれば、F1チームは基本となるシャシーと標準エンジンに対し1,500万ユーロ(約20億円)を支払うことになると考えられている。そして、その場合のエンジンは2013年まで使用されていた自然吸気V8エンジンとなるのではないかという。

そして、エクレストンの案によれば、新たなF1は2層構造によって構成されるものになる。つまり、現在と同じように自らシャシーを製造するコンストラクターによるカテゴリーと、カスタマーカーを購入するチームで構成されるカテゴリーの2つに分け、それを同時に走らせようというものだ。

これまで同様自社でシャシー製造を行うカテゴリーはF1、そしてカスタマーシャシーを使うチームで区分される新カテゴリーについては、「GP1シリーズ」と呼ばれるようになるのではないかとも言われている。

だが、小規模F1チームたちは、この案には声をそろえて反対の意を表している。

フォース・インディアのチーム代表であるビジェイ・マリヤは、モナコで次のように語った。

「我々は独立したコンストラクターであり、その立場のままでF1を続けることを望んでいる」

「我々はこのカスタマーカーの概念には賛同しかねる」

ザウバーも、マリヤと同様の主張を行っていると報じられている。

だが、これに異論をとなえたのがメルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフだ。

「彼らがそんなことを言うとはおかしな話だね」

モナコで記者たちにそう語ったヴォルフは、「なぜなら、彼らのうち3チームが私のところに来て、我々がカスタマーカーを供給できるかどうか聞いてきたんだからね」と付け加えた。

実際、今後エクレストンが主張する「GP1」シリーズのようなものを新たに設けるのか、あるいは、単にメルセデスAMGやマクラーレン、そしてフェラーリといった大規模チームが、顧客チームにシャシーを供給するだけのシステムになるのかは、現時点ではまだ明確にはなっていない。

メルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダは、モナコでイギリスの『Sky(スカイ)』に次のように語った。

「バーニーが言うには、我々(大規模チーム)がコンストラクターであり続け、それ以外のチームは区別されることになるとのことだ」

「そういう(小規模)チームが潤沢な資金を得ることは決してできないだろうからね」

そう語ったラウダは、次のように続けた。

「私としては、我々(大規模チーム)はそれぞれ2台余計にクルマを製造するという考え方を採用すべきだと思っている。1台だけではなくね。そうすれば現在資金やパフォーマンスで苦しんでいるチームもそれ(カスタマー・チーム)に切り替えることができる」

「我々は現在この方向で取り組もうと考えているし、それが正しい方向性だと私は思っているんだ」

『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、エクレストンと、F1オーナー会社であるCVCでは、今後F1株式の上場を実現するために、5つのコンストラクター(シャシー自社製造)チームと、それらのコンストラクターからシャシーを購入する5つの健全なカスタマー・チームによる“新たなF1モデル構築”を視野に入れていると報じている。

現在検討されている基本案は、メルセデスAMGがロータスへ、フェラーリがザウバーへ、レッドブルがトロロッソへ、マクラーレンがマノー・マルシャへ、そしてウィリアムズがフォース・インディアへとそれぞれのシャシーを供給するという案のようだと『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は付け加えている。

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