バーニー・エクレストンが「カスタマーマシン」の導入を強力に推し進めている。
長く懸案となっていた同制度は、先日のF1戦略グループで話を進めることになったと伝えられる。
ドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌によるとエクレストンは22日(金)、ニキ・ラウダ(メルセデスAMG)、クリスチャン・ホーナー(レッドブル)、ロン・デニス(マクラーレン)を呼んで話し合いを行なった。
以上3チームの中で、2016年からF1を戦うアメリカのハースを「Bチーム」にするつもりのフェラーリ、同じくマノー・マルシャを取り込みたいマクラーレンがカスタマーカーにもっとも熱心だと思われる。
「私は、何度も何度も同一シャシーと同一エンジンを唱えてきた」とエクレストン。パッケージの販売価格はたったの1,500万ドル(約18億2,300万円)、それが彼の青写真だ。
「4、5チームにマシンを売って、あとはコンストラクターの好きにすればいい」とエクレストン。
ザウバー、フォース・インディアといった小チームはこの考えに激しく抵抗している。「コンストラクター」のステータスを失えば、F1で格下に見られる恐れがあるからだ。
だがエクレストンは、彼の計画には大きなプラスがあると主張する。資金的に苦しいチームは「ペイドライバー」を雇わなくて済み、F1グリッドの質が向上するというのだ。
「金持ちドライバーを必死に探す必要がなくなって、才能あるドライバーを乗せることができる」
「マシンがどうのと、それでいったい何の違いがあるというのだ?(カスタマー)チームは7,000万ドル(約85億円)で戦ってもらえばいい。そのうちほとんどは、われわれが払う賞金でまかなえるのだから」
ただしエクレストンがその提案を通せるかどうかは、話が別だ。今風の民主主義に則って運営されているF1は、何ごとも簡単に行かない。
かつてのF1「独裁者」的なステータスを失ったエクレストンは、明らかにイラ立ちを感じている。先週行なったF1戦略グループの会合は前向きな内容だったといわれながら、けっきょく何も決まらなかった。
「そう、何も決まらなかった」と語るエクレストン。「次回の日程さえ決めなかった」
エクレストンは元より、チーム代表の多くはかつてのF1に戻りたがっている。エクレストンと前FIA(国際自動車連盟)会長マックス・モズレーがチームを牛耳っていた時代だ。
「意見を聞いてまわって、時間を浪費するのは止めにすべきだ」とモナコで語ったエクレストン。
「先日、私は彼(ジャン・トッドFIA会長)にいったよ。『何か気の利いたアイデアがあれば、私は賛成する。それが何であれ支持するよ。きみもそうしてくれ』」
「『これがF1世界選手権の規則なのだ。それでもF1を戦う気なら大いにけっこう。もし嫌なら、それはそれで仕方ない』。それがわれわれの取るべき態度だろう」というエクレストンだった。