F1公式タイヤサプライヤーであるピレリが、再び「タイヤ戦争」時代を迎えることが現在のF1が抱える問題の解決につながるとは言い切れないと語った。
現在、多くの問題を抱えているとされるF1だが、そのひとつに取り上げられているのがタイヤの問題だ。今のF1では、下位カテゴリーであるGP2程度のペースで走りながら、よりうまくタイヤをいたわることができたものが勝利を得ることができるという状態になっており、これでよいのかという疑問の声が大きくなっていた。
今月14日(水)にイギリスで開かれたストラテジー・グループ(F1の意思決定機関)の会議では、今後は現在のラップタイムを6秒ほど短縮できるF1カーの導入を図ることが決定された。
だが、中にはフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)のように、ミシュランのようなタイヤメーカーをもうひとつ公式サプライヤーに認定し、それぞれのメーカーで競い合わせるというのもよい方法ではないかと考えている者もいる。
「2006年にブリヂストンとミシュランが供給したタイヤは素晴らしいものだったよ。彼らはお互いに限界を高め合っていたからね」
そう語ったアロンソは、そうしたタイヤ戦争時代が終わり、現在のような単独メーカー制になってしまってからというもの、タイヤメーカーもかなり「リラックス」してしまっているようだと付け加えた。
だが、現在のF1タイヤサプライヤーであるピレリのポール・ヘンベリー(F1プロジェクト責任者)は、仮にミシュランがF1復帰し、お互いにしのぎを削ることになったとしても、それでF1の魅力が増すかどうかは分からないと『El Confidencial(コンフィデンシアル)』に次のように語った。
「ルールを慎重に検討する必要があるだろう」
「だが、現在の経済情勢にあっては、誰もタイヤ戦争を期待しているようには見えないんだ」
「最終的には、F1はチームとドライバーのための選手権なんだ。そしてタイヤメーカーとしては、お互いに競合したとしても、勝利にどれだけ貢献できたのかということがきちんと評価されるかどうか、非常に難しいところだ」
そう述べたヘンベリーは、次のように付け加えた。
「だから、再びF1にタイヤ戦争を持ち込むというのであれば、非常に確固たる主張がなされるべきだろうね」