18日(月)に、アメリカのインディアナポリス・モータースピードウエイでインディカードライバーのジェームス・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)が大けがを負う事故が発生していた。
24日(日)に決勝が開催される伝統のインディ500決勝に向けた練習走行を行っていたヒンチクリフはターン3でセーフティバリアにクラッシュ。この際、ヒンチクリフのクルマのサスペンションアームが、彼の右太ももから左太もも上部と骨盤にかけて突き抜け、大動脈を切断してしまっていた。
ホンダの広報担当が説明したことによれば、ヒンチクリフがターン3に向かおうとしたところで右フロントのサスペンションが壊れてしまい、それによってヒンチクリフがコントロールを失ったのがその事故原因だったようだ。
カナダ出身のヒンチクリフは事故当時も意識はあったとされており、緊急手術を経て集中治療室で治療が施されていた。幸いにも、今ではすでに容体も安定し、集中治療室から出て一般の病室へ移されたと報じられている。
今回ヒンチクリフを襲ったような恐ろしい事故がF1でも起こる可能性があるのかという疑問が浮かぶが、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、その可能性は低いだろうと報じている。
まず、F1のサスペンションはインディカーで使われているスチールではなく、カーボンファイバー製となっている。
さらに、F1カーは耐貫通性能が非常に高いとされるザイロンと呼ばれる材質で補強されている。
F1統括団体FIA(国際自動車連盟)の技術部門代表者であるジョー・バウアーは、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。
「(F1カーは)コックピット全体がザイロンで補強されており、それによって外部のパーツが貫通することを防いでいる」
インディカーにもザイロンは使用されている。だが、F1ではシャシー全体がザイロンによって保護されている形となっているため、仮にヒンチクリフの事故のような状況となっても、サスペンションアームが補強されたコックピット部分に損害を与えるだけで済んでいた可能性が高いという。
さらに、F1ではサスペンションの取り付け個所に関してもスチールによってさらに補強が施されているという。
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』のミハエル・シュミット記者は次のように付け加えている。
「このエリアに関しては、インディカーのほうがF1より遅れている」