F1最高責任者のバーニー・エクレストンは、現在もまだ2014年からF1が導入したハイブリッドシステムであるV6パワーユニットに納得できていないようだ。
昨年大きくエンジンルールが変更され、V6ターボエンジンとエネルギー回生システムが組み合わされたパワーユニットがF1に導入された。だが、2013年までの自然吸気V8エンジンに比べると音が小さくなったことに加え、燃料使用量の制限などルールが複雑化したことで、F1ファン減少のひとつの原因となったと言われている。
さらに、高度な技術が用いられるパワーユニットのコストは自然吸気エンジンよりも増大しており、これによって小規模F1チームの財政がさらに厳しいものとなったのは事実だ。
こうしたことを受け、エクレストンはこれまで一貫してパワーユニットの使用をやめ、かつての自然吸気エンジンに戻すべきだと主張してきている。
■エンジンのコストはかつての2倍
『The Independent(インデペンデント)』紙は、ウィリアムズの最高財務責任者を務めるアラン・キンチが今週、F1ビジネス記者として知られるクリスチャン・シルトとケイト・ヒューイットに対し、V8エンジンからV6ターボになったことで「コストは基本的に2倍になった」と語ったと報じている。
先週の14日(木)には、イギリスのビギン・ヒル空港にあるエクレストン所有の施設でF1の意思決定機関であるストラテジー・グループの会議が行われた。だが、エクレストンの自然吸気V8エンジンに戻すべきだとの主張は、そこでは受け入れられなかった。
■F1パワーユニットの技術応用は望めない
エクレストンは、19日(火)に発行されたイタリアの『Autosprint(オートスプリント)』の中で次のように語っている。
「多くのことを変えたいと思っている」
「今日、我々はエンジンが最も重要なものとなる規則を運用している。私は、F1はあまりにも複雑なエンジンを使うべきではないと考えているんだ」
「名前を出すことは控えるが、ある大手メーカーで働いている私の友人が教えてくれたよ。現在のF1ハイブリッドで使用されている技術的手法が一般車に応用されることは決してないだろうとね」
■パワーユニットは百害あって一利なしだとF1ボス
「いずれにせよ、こうしたエンジンはF1にとって有益なものではないよ。エンジンのおかげでレースの見どころが増えることもなければ、チームにとってスポンサーや出資者を探すことにも役立ちはしないんだからね。チームたちが、以前よりも多くの金を支払わなくてはならない状態になっているだけだ」
そう主張したエクレストンは、次のように付け加えた。
「もちろん、(F1で)今とは違う安価なエンジンを使うことは可能だし、それによって同じパフォーマンスを発揮することもできる。だが、メーカーたちはそれを望んでいないんだ」