現行F1規則に不満のヘルムート・マルコ博士が、今週行われるF1戦略グループの会合を前に独自の主張を展開した。
8日(金)のF1第5戦スペインGPフリー走行でまたもエンジンが故障、ついに今季4機目のパワーユニットを使うことになったダニエル・リカルド(レッドブル)。エースドライバーが極短ノーズをはじめとする新パーツを十分にテストできないとは、緊急事態だ。
さまざまな規則のしばりにマルコは、次のようにオーストリア『APA通信』にイライラをぶつける。「モータースポーツのプロらしくレースの準備をしたいのに、それができないとは」
壊れまくるエンジンに、製造元のルノーに対するマルコの怒りも募る。今もって彼らは、信頼性の問題に取組めていない状態なのだ。
だがマルコはいう。「信頼性だけで勝負はできない。われわれは遅れを取るばかりなのだ」
「エンジンで失ったものはシャシーで取り返すしかない。それでもわれわれは、6位や8位でフィニッシュするよりは3番手からエンジン・ブロウを喫するほうがまだマシだ」
F1戦略グループは今週、だいじな会合を行う。まず話し合わなければならない議題のひとつが、今年のドライバー一人あたりのエンジン割り当て台数だ。4機から5機に増やそうといったものである。
マルコは次のように話す。「われわれにとって4機か5機かは問題ではない。7機や8機なら話は別だが」
「(ロングライフの)エンジン規則はバカバカしい。ちっともコスト問題の解決にならないどころか、むしろ支出を助長している。たった4機のエンジンでシーズンを終えられるチームがあったら、お目にかかりたい」
トップチームの多くは根本的な規則変更に反対するが、マルコは、2017年にF1規則を変えるよう戦略グループの迅速な対応を求めている。
「会合から納得できる結論を求めたい」とマルコ。
「われわれだけでなく、F1全体にとって重要なのだ。テレビの視聴率も観客動員数も下降している。新しいスポンサーなど、ほとんど参入していない」
「われわれの上司(ディートリッヒ・マテシッツ)は、何も変わらないならF1に対する関わり方を再考せざるを得ないといっている」
今は物ごとを変えるメカニズムが機能していない。それが問題だとマルコは指摘する。
「FIA(国際自動車連盟)、FOM(フォーミュラ・ワン・マネージメント)、各チームの三位一体はちっとも本来の働きをしていない」「それぞれ求めるものが違うのだ。だったら別々のメカニズムを作るべきだろう」