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フォーミュラE第7戦モナコの見どころを中野信治が語る

2015年05月09日(土)21:40 pm

FIAフォーミュラE選手権も6戦を終え、全ての大会で異なるドライバーが優勝するという大混戦が続いている。

■【結果】フォーミュラE 第7戦モナコの決勝レース順位、タイム結果

前回、初めてフォーミュラEの解説を務めた元F1ドライバーの中野信治が、第6戦ロングビーチ大会の勝敗を分けたポイントを分析するとともに、第7戦モナコ/モンテカルロ大会の見どころについて語った。

■Q.初めてフォーミュラEの解説をしていただきましたが、レースが終わり、その感想は?

中野信治:レースを初めから終わりまでゆっくりと見たのは初めてだったが、思っていた以上にエキサイティングで、モーター音やレース展開、エネルギーマネジメントなど含めて、いままでに見たことのない新しいタイプのレースでした。見る側を飽きさせない面白いレースでしたね。

■Q.第6戦ロングビーチ大会では、ネルソン・ピケJr. (チャイナ レーシング)が初優勝を果たしましたが、今回の勝敗のポイントは?

中野:勝敗のポイントは、とにかくスタートに尽きると思います。今回、おそらくネルソン・ピケJr.と同じくらいのレベルのペースで走るドライバーは何人かいたと思いますが、何よりも彼の気迫が、どのドライバーをも上回っていたのではないかなと。彼の気迫や、集中力の高め方が、今回の彼の初優勝につながったと思います。

■Q.ゴールの瞬間まで隙の無いレースでした。

中野:そうですね。本当に最初から最後まで完璧にレースをまとめあげていました。スタート直後のオーバーテイクもそうですし、途中セーフティカーが入ってから2回のリスタートも完璧にまとめていたので、どこにも隙が無かったですね。素晴らしい走りだったと思います。

■Q.第5戦は一度もセーフティカーが入りませんでしたが、第6戦では2度入りました。前回のレースと比べて変化したところは?

中野:大きな変化は見られなかったが、今回はコース幅がすごく広かったということもあって、「行けるんじゃないかな」という気持ちがドライバーたちに芽生えたのかなと思います(笑)。実際にはかなりリスクのあるコーナーであっても、なんとなく「行けちゃうんじゃないかな」と思わせる、誘い水のようなコーナーがいくつかあったので、そういうところでアタックをしてクラッシュしてしまうような展開が見られました。

■Q.いよいよ第7戦からはヨーロッパラウンドで、モナコに舞台を移します。中野さんにも非常にゆかりのある地だと思いますが?

中野:僕自身も過去に2回モナコでレースをした経験がありますが、2年目のミナルディで走ったときは非常に印象的でしたね。1年目は、初めての公道コースということもあって、「こんなところでレースは絶対にできない」と思ったのを覚えていますね(笑)。それでも1年目を終えて、2年目のときには、自分が思っていた以上に車を乗りこなすことが出来て、サーキットも攻め切ることが出来て、F1の当時戦ってきた全サーキットのなかでも1、2を争うくらい好きになったといってもいいくらい、思い出のあるサーキットですね。

■Q.フォーミュラE仕様で少し短いコースにはなりますが、モナコのコースの特徴は?

中野:一番分かりやすい特徴は、コース幅が非常に狭いことです。第6戦ロングビーチのコースはコース幅が広い公道コースだったので、真逆のイメージですね。また、路面のミュー(摩擦係数)に関しても、若干低いのではないかと思います。タイヤのグリップ力に関しても少し低い。路面のアンジュレーションもロングビーチ大会と比べると若干大きいので、車がグリップする場所、グリップしない場所というのを見つけるのが難しいのかな、という気がします。

■Q.そういった条件のなかで、レースについてはどんな展開が予想されますか?

中野:ドライバーがミスを犯しやすいというのが大きいですね。また、車のセットアップが非常に重要になってくると思います。コースに持っていく前に、ファクトリーでシミュレーションをして決めるイニシャルのセットアップが上手くいっていれば、初めからコースを攻めていけるので、予選・決勝へ行くまでに、早い段階でセットアップが決まれば、他をどんどんリードしていくことができる。そうすると、ドライバーにも余裕が出来るので、ミスを犯す可能性が減っていく。そうした積み重ねでモータースポーツは出来ています。そういった意味では、コースに持っていくイニシャルの車のセッティングが重要だと思います。

■Q.第7戦のコース図を見て、オーバーテイクのポイントになりそうなところは?

中野:ターン3がオーバーテイクのポイントになるのは間違いないと思いますね。また、ターン1についても、僕がF1を走らせていたときとは若干違うレイアウトになっていますが、もしかしたらここもオーバーテイクが起きる可能性はありますね。

■Q.ターン1はどういったところがポイントになってきますか?

中野:モナコのストレートは思った以上に短いので、なかなかスリップ(ストリーム)を効かせるのが難しい。そういった意味で、ターン12の出口が非常に狭く、路面が逆バンクのようになっていて、すごくスリッピーでオーバーステアを出しやすい。また、この車は特にバッテリーの関係でリアが重く、後ろが滑りやすいので、ミスするドライバーが必ず出てくると思います。そのミスに乗じるかたちで、オーバーテイクするポイントになってくる気がしますね。

■Q.ターン3については?

中野:ストレートの後のヘアピンですが、ストレートの距離も非常に短いと思うので、綺麗にターン1、ターン2を抜けられてしまうとオーバーテイクは難しいかもしれない。ですので、ターン1、ターン2から、相手にトラクションを綺麗にかけさせないように、プレッシャーをかけてミスを誘い、ターン3でオーバーテイクする、という展開がイメージできますね。
特にモナコのサーキットはコース幅も狭いので、ひとつのコーナーでオーバーテイクするというよりは、前のコーナーでミスを誘って、次のコーナーでオーバーテイクをするというような、頭を使ったレース展開が必要になってくるので、そこはひとつの見どころになってくると思いますね。

■Q.6戦終わって6人の優勝者が出ていますが、次の7戦目でまた新しい優勝者が出るのか、それとも2勝目を挙げるドライバーが出るのか、注目が集まります。

中野:1回勝っているドライバーは、絶対に自分が一番乗りで2勝目を挙げたいと思っているはず。ただ、ここまで2勝しているドライバーがいないというのは、ひとつの面白いポイントだと思います。
フォーミュラEは、見た目のスピードがそこまで速くないので、モータースポーツを知らない人にとっては、簡単に運転できると思ってしまうかもしれないけれども、コントロールがすごく繊細なんですね。普通に走らせる分には、意外に楽に走らせられると思いますが、ぎりぎりを攻めていったときに、車の限界がどこにあるのかが掴みづらい。

1勝目を挙げたドライバーは、すごく自信を持って、全てコントロールできると思って次のコースに行くので、どこかで隙ができてしまう。いままでの他のカテゴリーの車なら、それでもコントロールできていたかもしれないけれども、この車だとそれが出来ない。ドライバーにとってすごく奥の深い車ですよね。1勝を挙げて、自信を持って臨んだドライバーが、これまでもミスをしていますから、そういった部分が、いままでのカテゴリーにはない難しさであり、面白さだと思いますね。

決勝(生中継):5月9日(土)22時54分 BS朝日

■大会ハイライト
5月10日(日) 23時30分 BS朝日
5月16日(土) 深夜3時45分 テレビ朝日系列地上波(一部地域を除く)

■【結果】フォーミュラE 第7戦モナコの決勝レース順位、タイム結果

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