シルバーストン・サーキットの責任者であるパトリック・アレンも、現在のF1ルールを変えていく必要があると主張している。
アレンは、イギリスのメディアに対して、現在のレースは技術力によって差が付くものとなっているため、レース結果もほぼ予想通りとなってしまうと主張。表彰台の一番高いところに立つべきなのはドライバーではなくて「テクニカルディレクター」のほうだとの冗談まで付け加えた。
アレンは、シルバーストンで開催されるF1イギリスGP(第9戦/7月5日決勝)のチケットはすでに25パーセント以上が売れていると語ったが、それは2014年のF1チャンピオンであるイギリス人ドライバーのルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が、今季も大きくリードしていることがその要因だという。
だが、アレンはそのハミルトンのリードが大きくなりすぎることにも不安を感じているようだ。
「ルイスがどのレースでも勝ち続ければ、みんながもう結果は分かり切っていると言い始めるまでそれほど時間はかからないのではないだろうか?」
そう語ったアレンは、「ルールをもっとワクワクするようなものにするためには、FIA(国際自動車連盟)とFOM(F1商業権管理会社)にも協力してもらう必要がある」と付け加えた。
2014年にF1は新たなV6パワーユニット時代を迎えたが、今や小規模チームたちは生き残るために必死となり、名門コンストラクターであるレッドブル・ルノーやマクラーレン・ホンダは不振にあえいでいる。そしてF1関係者たちは2017年シーズンに向けてレギュレーションを大幅に見直すことについての話し合いを行っている。
シルバーストンとしてそうした意見を述べることが、F1がルール変更を行うことを後押しすることにつながると思うかと質問されたアレンは、「影響を及ぼすためと言うより、これは嘆願なんだ」と語り、次のように続けた。
「誰を乗せてもレースに勝てるように見える。フェルスタッペンなどはF3からそのままF1に上がったが、彼らが(F1カーを)運転するのに苦労しているだろうか?」
「もう少し、いろんなところで競争が見られるといいと思うね。今のF1ではそれは見られないし、現在のF1カーがF1にとって正しいものなのかどうなのかよく分からないよ」
「今から5年、6年、7年後にはファンはだんだん減ってしまうだろう。それはF1カーが面白くないからだし、そこに我々の問題があるんだ」
そう語ったアレンは、エンジン音に関してもいまだに大きな課題として残っていると付け加えている。
アレンに言わせれば、特にヨーロッパの伝統サーキットではF1レース開催時の収入に大きく依存しているという。だが、すでに今年のドイツGPはキャンセルとなり、モンツァでさえ今後の開催継続が危ぶまれる状況となっている。
アレンは、次のように締めくくった。
「だんだん数が減って行き、まるで世界自然保護基金のようなものが必要な状況になりつつある。保護する必要があるんだ」