先週末のF1中国GP(第3戦)決勝後に、チームメートのルイス・ハミルトンがペースを上げなかったために自分のレースが台無しにされるところだったとの非難を行ったニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)だが、その主張に賛同する者はあまりいないようだ。
ロズベルグは、イギリスの放送局『Sky(スカイ)』に対して次のように語った。
「感じたことを口にしたまでさ。だけど、もう上海のことについては忘れたよ」
だが、2人の元F1ドライバーたちが、ロズベルグが今回ハミルトンのレース戦略に対してそのような批判を行ったことは賢いやり方ではなかったと語っている。
そのうちの1人は、かつてアロウズやブラバムで活躍したスイス出身のマルク・スレールだ。スレールは現在テレビ解説者を務めることでも知られている。
「これまでああいうことは耳にしたことがなかったよ」とドイツの『Sky(スカイ)』に語ったスレールは、次のように続けた。
「ほかのドライバーが自分の前でゆっくり走り過ぎていると文句を言うのはおかしな話だし、それは彼自身にとってもF1にとっても何の得にもならないよ」
「彼には不満と怒りがたまっているんだと思う。だが、追い抜こうとさえしないのであれば、そのレースに勝つことはできないよ」
さらに、70年代から80年代にかけてマクラーレンなどで活躍したドイツ人元F1ドライバーのヨッヘン・マスも、『Kolner Express(ケルナー・エクスプレス)』に対し、ロズベルグのレース後のコメントは「理不尽だ」と語っている。
「仮に、彼(ハミルトン)がその目的のためにわざと遅く走ったのだとすれば、私なら次には黙って彼を追い抜きにかかるだろうね」
「私は彼(ロズベルグ)にこう助言したいよ。それに対しては自分のドライビングによって反応してみせろとね」
さらに、ロズベルグのコメントに対して異議をとなえているのは、元F1ドライバーたちばかりではない。
2010年から2012年までハミルトンとはチームメートの関係にあったジェンソン・バトン(マクラーレン)も、ロズベルグが公然とこうした批判を行うことはあまりいい戦略ではないと考えている。
「メディアに対して自分が不満に思っていることを話すことは、ルイスのほうにより有利に働くだけさ」
「ルイスをあわてさせるためには、彼を負かすこと以外に方法はないんだ。すべてのレースでルイスが勝利を重ねれば(ロズベルグにとっては)もっと状況が悪くなるからね」
『Mirror(ミラー)』にそう語ったバトンは、次のように付け加えた。
「ニコは不満を感じているし、それも無理のないことだ。だが、それは誰のせいにもできないんじゃないかな? (昨年のイタリアGP以降)ハミルトンが10レースのうちに8回優勝しているのに対し、ロズベルグはわずかに1回だけだ。この差は大きいよ」