フェラーリのチーム代表であるマウリツィオ・アリバベーネが、F1タイトル獲得の望みを膨らませるために「チームオーダー」を発令するようなことは考えていないと語った。
今季もまだ3レースが終わったばかりだが、圧倒的な強さを誇るメルセデスAMGに負けないほどの活躍を見せているのがフェラーリのセバスチャン・ベッテルだ。
第2戦F1マレーシアGPで優勝を飾ったベッテルは、開幕戦に続いて先週末の中国GPでも3位表彰台に上っており、現時点ではドライバーズランキングもリーダーのルイス・ハミルトンに次ぐ2番手につけている。しかも、すでにチームメートのキミ・ライコネンの倍以上のポイントを稼いでいるのだ。
ライコネンもマレーシアと中国ではいずれも序盤のトラブルや、予選の出遅れはあったものの連続で4位となる健闘を見せている。だが、開幕戦をトラブルによるリタイアで終えたこともあり、ここまではベッテルの活躍の陰に隠れてしまっている状態だ。
そして、早くもF1関係者やファンの間では、次のような疑問がささやかれ始めている。
仮に、ベッテルが力的には劣るクルマでメルセデスAMGを上回るチャンスがめぐってくる可能性があれば、フェラーリとしては以前は定石的な手法であったナンバー1ドライバーとナンバー2ドライバーの役割を明確にすることで、そのチャンスを広げようとする戦略を取るのではないかというものだ。
だが、アリバベーネは、今後もライコネンがベッテルとまったく公平な処遇を受けることに疑問の余地はないと主張した。
「我々は彼(ライコネン)に対して必要な支援はすべて行うし、私はチームオーダーなどというものは好きじゃないんだ」
イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』誌にそう語ったアリバベーネは、次のように続けた。
「私がマラネロ(フェラーリ本部)へ来たとき、古い行動基準があるのが分かった。そこで、私は2人のドライバーとその担当エンジニアたちの出席のもと、いくつかの変更を加えたんだ。そのことは誰もが知っているよ」
「唯一運用されているルールは数字的なものだけだ」
『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』も、これに関してアリバベーネが次のような説明を行ったと報じている。
「どちらにもタイトル獲得のチャンスがある限り、セブ(ベッテルの愛称)とキミはお互いに自由に戦って構わないんだ。だが、それによって問題を引き起こすようなことがあっては困るがね」