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ビアンキの父、最近の容体やFIAの調査結果について語る

2015年04月13日(月)21:08 pm

ジュール・ビアンキの父親が、2014年に鈴鹿サーキットで起きた事故により今もこん睡状態が続いている息子の現況などについて語った。

昨年の10月5日に行われたF1日本GP決勝での事故からすでに半年が経過したが、25歳のビアンキはいまだに故郷ニースにある病院のベッドにこん睡状態のまま横たわっている。

ビアンキの父フィリップはこのほど、「毎日のようにジュールに励ましや勇気づけの言葉を送り続けてくれている皆さんへ敬意を表す」ことを目的として、地元紙の『Nice-Matin(ニース・マタン)』とのインタビューに応じている。

■身体機能は完全だが意識は戻らず

だが、フィリップは、ビアンキの容体に関しては、新たな情報はないと次のように語っている。

「ひとつだけ言えるのは、彼(ビアンキ)がこれまでと同じ強さを示して戦い続けていることだ。あの事故の前も、そして後もね」

「毎日、ジュールはマラソンをしているよ。医学的見地からは、彼の容体は安定している。ほぼ自律した状態にあるし、身体的な問題はないんだ」

「彼のすべての臓器は何の補助のないまま機能しているよ。だが、まだ意識は戻っていない」

■予定よりも早かった転院

ニースの神経科医がビアンキの脳の状態に何らかの改善を認めたりはしていないのか、との質問を受けたフィリップは、「こうした衝撃を受けた場合、回復には非常に時間がかかるものなんだ」と答え、次のように続けた。

「だが、ジュールの手術を担当した日本の専門医が私たちに語ってくれたことに比べれば、すでに昼と夜ほどの違いがあるよ。我々が最初にジュールのもとに駆け付けたときには、ほとんど望みもないような状態だったからね。あのときは、もう改善の見込みのない損傷を受けているとの話だった」

「1年間は転院させることさえ無理だろうと言われていたんだ。だが、7週間で転院も済ませることができた。ジュールがすぐに自発呼吸を始めたからね」

■家族とガールフレンドが毎日付き添って励ましている

「現時点では、医師たちからはもうこれ以上できることはないと言われている。一番大切なことは、ジュールを励まし続けることだよ。そうすれば、彼も常に私たちがついていることを感じるからね」と続けたフィリップ。

「だから、今も毎日付き添っているんだ。母親、兄や妹、そして私が交代でね。それにドイツ人ガールフレンドのジーナもいる。彼女は今ここに住んでいるんだ」

「時々、ベッド脇にいるときに気付くことがあるんだ。時折ジュールの動きが活発になり、動きも増え、私たちの手を握り返してくることがある。だが、それが単なる反射作用に過ぎないのか、本当に回復していることを示すものなのかは分からない」

■毎日が拷問のような日々

将来が嘱望されるF1ドライバーであったビアンキ。その家族を突然襲った苦しみはいまだに続いているとフィリップは次のように続けた。

「私たちの世界は2014年10月5日に崩壊してしまったよ。彼が意識を取り戻すことがあるのかという問いに答えられる者は誰もいない。もしそうなったとき、彼には重い障害が残ってしまうのか、あるいは普通の生活に戻れるのだろうか?」

「こういうタイプの事故では、時として死よりも厳しい現実にぶつかることもあると思う。この苦しみが消えることはないんだ。毎日拷問に合っているようなものだよ」

「彼のことを考えてくれる人たちには感謝したい。何らかの進展があれば、それがよいニュースであろうと悪いニュースであろうとお知らせすると伝えていただきたい」

■FIAの調査結果には不信感

そう語ったフィリップだが、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)がまとめた鈴鹿の事故調査報告書の話になると、怒りに満ちた口調に変わったという。その調査報告書では、あの事故の責任は基本的にはビアンキ本人にあるとされていた。

「あれは内部調査でしかなかった」とぶっきらぼうに語ったフィリップは、「F1関係者だけによるものだからね」と付け加えると、さらに次のように続けた。

「このことに関しては、私が新たに言うべきことは何もないよ。今では非常に善良な人たちがジュールの名誉を守ることにかかわってくれているんだ」

「もし、いつか誰かに責任があるということが明らかになれば、彼は賠償責任を負うことになるだろう。正直に言えば、私はこの話をすると怒りに包まれてしまうんだ。それよりは、今はジュールのために自分のエネルギーを集中させたいと思っている」とフィリップは結んだ。

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