フェラーリのチーム代表が、突然、シーズン前に冗談半分で行っていた誓いを実現に移すための計画を練り始めたようだ。
■誓いの実行に意欲満々のアリバベーネ
2015年シーズンの開幕前には、今シーズンにはあまり期待ができないと語っていたフェラーリの新チーム代表マウリツィオ・アリバベーネ。開幕戦オーストラリアGPの前には、もし今年フェラーリが4レースで優勝できたら「マラネロの丘を裸足(はだし)で走ってみせるよ」との冗談まで口にしていた。
だが、意外にも、第2戦マレーシアGPでセバスチャン・ベッテルが早速最初の勝利をあげてみせた。
そして、フェラーリの専属ジャーナリストとして知られるレオ・トゥッリーニは、アリバベーネが自分の立てた誓いを実行するための準備を始めたと伝えている。
トゥッリーニは、アリバベーネが走るルートはマラネロからセストラまでのおよそ70kmとなるとし、アリバベーネと一緒に夕食をとったときに、「もし5勝できたら、そのときは一緒に走らないか?」との誘いを受けていたことも明かしている。
■フェラーリ復活の立役者は?
2015年には一躍メルセデスAMGの筆頭ライバルの位置に上ってきたフェラーリだが、フェラーリ躍進の立役者のひとりだと目されているのが2013年にロータスから移籍してきたF1カー設計者のジェームス・アリソンだ。アリソンは新体制となったフェラーリではテクニカルディレクターという地位に就いている。
今年のフェラーリSF15-Tは、アリソンがフェラーリで初めてすべての責任を負って設計したクルマだ。アリソンは、かつてミハエル・シューマッハとともに黄金時代を築いたときに技術責任者を務めていたロス・ブラウン同様、シャシーだけでなくエンジンに関しても自分の監督下に置く体制を敷いている。
そのアリソンは、次のように語った。
「私はクルマのネジ1本すら設計してはいないよ。私の仕事は、さらに開発を進めていく価値があるパーツはどれかということを決定することなんだ」
アリソン自身は、ブラウンと比較されるほどのことはしていないと謙そんしているが、フェラーリのドライバーたちがアリソンの監督のもとで製造された2015年型車に満足していることは明らかだ。
■タイトル獲得さえ視野に入れるベッテル
マレーシアでフェラーリ移籍2戦目にして勝利をつかんだベッテルは、タイトル争いに絡んでいくことさえ期待している。
「僕が契約したのはそのためなんだ」と語ったベッテルは、次のように続けた。
「それが僕たちの目標であり、使命なんだ。マラネロにF1王座を持ち帰ることがね」
マレーシアGPでフェラーリが勝てたのは、高温のサーキットにおいてうまくタイヤを長持ちさせることができたためであり、今後のレースで同じようなことができるとは思えないと語る者たちもいる。
だが、キミ・ライコネンも、SF15-Tは本当によくできたクルマだと主張している。
「サーキットや天候といったさまざまな条件が結果に重要な影響を及ぼすことは間違いないよ」
イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』にそう語ったライコネンは、次のように付け加えた。
「だけど、だからといって僕たちに強いクルマがあるという事実は変わらないよ」