ある女性レーシングドライバーが、女性だけによるF1シリーズを作ってはどうかとのアイデアに対して歓迎する姿勢を見せたと報じられている。
F1最高責任者のバーニー・エクレストンは先週末、今季のF1第2戦マレーシアGPが行われたセパンにおいて、女性だけによるF1選手権を立ち上げればF1の人気も高まるのではないかとのアイデアを披露し、次のように語っていた。
■女性だけのF1を作ればメリットもあるとエクレストン
「現時点では、まだアイデアの域を出てはいないが、メインレースの前座として行うこともできるだろうし、あるいは土曜日に決勝を行うこともできるだろう。そうすれば、彼女たちにとってもメリットが生まれるはずだ」
現在、F1にはウィリアムズでテストドライバーを務めるスージー・ヴォルフ、そして最近ロータスと開発ドライバー契約を結んだカルメン・ホルダという2人の女性ドライバーがいる。だが、エクレストンは、次のように続けた。
「いくつかの理由により、女性は(F1レースに出場できるところまで)到達することができていない。これは、我々がそれを望んでいないからというわけではないのだ」
「もちろん、そうなればいいと思っているよ。多くの注目を集めることになるだろうし、宣伝効果も高まるはずだ。それに、スポンサー獲得にもつながるだろう」
エクレストンとすれば、宣伝上の効果なども見込んだ上で女性の進出を望んではいるようだ。だが、現実的には今のF1に女性が登り詰めるのは非常に難しいのも事実だ。だとすれば、女性だけのF1を作れば、そうした問題は解決するだろうということだ。
■そんなシリーズを作っても意味がないとヴォルフ
だが、このエクレストンのアイデアに対し、真っ先に反論したのがヴォルフだった。ヴォルフは、女性だけのF1シリーズではなく、あくまでも「普通の選手」として現在のF1に出場することを目指しているのだと主張し、次のように語った。
「本当に正直に言いますが、私にとってはそんな(女性だけの)レースで優勝することに意味はないんです。そんなレースなら出ないほうがましです。それによって私が何を得られると言うんですか?」
「とりあえずグリッドを埋めるために女の子たちを集めたレースでしょ?」
だが、ヴォルフとは少し違う見方をしている女性ドライバーもいる。22歳のイギリス人ドライバーであるアリス・パウエルだ。パウエルはこれまでF3やGP3などでフォーミュラカーレースに挑戦してきている。2014年シーズンにはアジア・フォーミュラ・ルノー選手権に出場し、11戦中4回のポールポジションを獲得、4勝をあげてランキング1位となっている。
パウエルは、『Sky(スカイ)』に次のように語った。
■F1カーでのレースチャンスができるのは歓迎との声も
「これまでは男性たちと戦ってきていましたから、本当にちょっと複雑な気分ですね」
「モータースポーツは、男女が同じ土俵の上で戦う数少ないスポーツのひとつですし、それが私にとってすごく魅力的な部分でもあるんです」
そう語ったパウエルだが、このままF1カーに乗ることなくキャリアを終えるのもいやだと次のように続けた。
「でも、F1カーでレースをするチャンスをあきらめたくはありません。そういう意味では、私はいいアイデアじゃないかと思います」
「私が疑問に思うのは、どうやってその運営資金を賄うのかということです。資金を集めるのは本当にすごく大変ですから」とパウエルは付け加えた。