2015年F1開幕戦オーストラリアGPで予選通過を目指していたマノー・マルシャ。しかしフリー走行を含めて1周も走ることができず、事態を重く見たFIA(国際自動車連盟)はチームを呼んで説明を求めた。
何週間か前に管財人の経営管理下から脱したばかりの旧マルシャだが、CEOのグレアム・ラウドンは、より準備を整えるために第2戦マレーシアGP(3/27-29)まで待つのを潔しとせず、オーストラリア行きを決意。
ところが、いちどは競売にかけるはずだったコンピューターはソフトウェアの類が消去されていた。これでは、せっかくメルボルンにやってきても2014年型フェラーリ・エンジンに火が入らない。
「単にソフトウェアだけの問題ではない」とラウドン。「まさにトラブルだらけだ」
「とにかく、ここメルボルンにいるのがとても重要なのだ」「われわれもF1世界選手権の一部だ。第1戦から最終戦まで出るのが本当のチームだろう」
しかしF1 CEOバーニー・エクレストンによると、彼らはすでに旧マルシャ時代、2014年の3戦(アメリカ、ブラジル、アブダビGP)を欠場、その末メルボルンにやってきたという。
「契約によって3レースまでは欠場できる」とイギリス『The Independent(インディペンデント)』紙に語ったエクレストン。「それ以上スケジュールを飛ばせば、彼らは終わりだ」
14日(土)の予選が終わり、日が暮れてマノー・マルシャがFIAに呼び出された裏には、そのような経緯があった。
FIAは「2月20日にFIAの手紙を受け取ったにも関わらず予選に参加しなかったのはなぜか、その理由を文書に認めろ」といっている。
2月の手紙がどんな内容のものだったかは不明だ。
パドックにいるF1関係者の見方は厳しい。マノー・マルシャは、オーストラリアGPの予選に出るつもりなど最初からなく、ただ数百万ドルに及ぶ2014年の年間賞金が欲しいからやってきたというのだ。
確かにマシンを走らせようと数々の難関をくぐり抜けてきた彼らだが、だったら例えば、作業続行のためにパドック内「夜間立入禁止」の解除を求めなかったのはなぜか。
ドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』紙は、今週末を通じて1セットのノーズとフロントウィングしか目撃していないと伝えた。さらに、燃料の供給も受けていないという。
チーム代表のジョン・ブースはこれを否定する。
「疑われるのも無理はない」とブース。
「しかし、最初から走るつもりがなければ、わざわざ40名のスタッフを連れて30トンの機材を運び込まない。また、ピレリやフェラーリを始めとする供給メーカーと交わした約束を守ったりしない」