13日(金)に開幕した2015年F1シーズン。ところがオーストラリアGP初日午前、エンジンに火が入ったのは10チーム中8チーム。午後にようやくザウバーが走行の仲間入りをした。
彼らは昨年のテストドライバー、ギド・ヴァン・デル・ガルデとの法廷闘争で混乱の真っ只中にいる。最後まで姿を見せなかったマノー・マルシャは、フェラーリとの交渉に追われている。複雑な「パワーユニット」を動かすプログラムを消去してしまい、2014年の旧バージョンをフェラーリの手で再インストールしてもらわなければならないのだ。
「ここ(メルボルン)にいるからといって、ただクルマのキーを回して出発進行できるわけじゃない」とイギリス『Sky(スカイ)』に語るのは、チームの社長グレアム・ラウドン。
こうしたオペレーション上の問題はそうとうに深刻で、今後数戦は走れないのではないかといった話もある。
「ともかく念入りに作業をするしかない」とラウドン。メルボルンでは「死ぬ気でがんばって」予選と決勝を走るつもりだと語った。
各車がフリー走行でサーキットを走り回ったこの日、マノー・マルシャにとっては「実質、今日がテスト初日」だったというわけだ。
仮にソフトウェアの問題が解決したとしよう。それでも彼らは、さらなる課題に直面する。ひとつには、英国政府が未払いとなっている税金の取り立てを行なっているという話だ。
おまけにマシンは急造の2014年型車だ。後ろに積んでいるのは、一年落ちのフェラーリ・エンジンである。
107パーセントの予選規則についてドライバーのウィル・スティーブンスに聞いたところ、彼の答えはこうだった。「それは、上位勢がどれだけ速く走るかによるね」
冬季合同テストを見る限り、各チームは2014年に比べて少なくとも1周あたり2秒はタイムアップしていた。
「やれるだけのことはする」というスティーブンス。「でも僕らのタイムが107パーセント以内におさまるかどうかは、分からないな」