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【アロンソ事故】マクラーレンの説明に「トリック」を疑う元F1ドライバー

2015年03月04日(水)18:24 pm

大きな話題となったフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)のテスト中のクラッシュに関しては、その見方が大きく2つに分かれているようだ。

一方は、マクラーレン・ホンダが発表した公式声明以上の事実はないと考える者たちだ。それによれば、アロンソの事故は予期せぬ突風によって引き起こされたもので、アロンソは壁にぶつかった際に大きな衝撃を受けたことで気を失っていたと説明されている。

そしてもう一方のグループは、アロンソの事故には、マクラーレンが伝えたこと以上の真実が隠されているのではないかと疑っている者たちであり、数としてはこちらに属する者のほうが圧倒的に多いと言われている。

アロンソの事故に関してはさまざまな憶測や疑念がメディアをにぎわせているが、まず指摘されたのが、アロンソが事故を起こしたときのスピードや軌道に関する証言と、マクラーレンが行った説明が矛盾しているという事実だ。これに関してマクラーレン側ではテレメトリーデータの公開は行っておらず、肯定も否定も行っていない。

だが、マクラーレン総帥のロン・デニスも、そのデータを見たチームメートのジェンソン・バトン(マクラーレン)が、「変だ」と言ったことは認めている。

■トリックのにおいがするとマーティン・ブランドル

こうした中、かつてマクラーレンでも活躍した元F1ドライバーであり、現在はF1解説者を務めるマーティン・ブランドルは『Telegraph(テレグラフ)』に次のように語っている。

「何かが間違っているね。何か足りないものがある」

「非常に奇妙な状況だ。巧妙なトリックがたくさんあるようだ」

ブランドルは、まずはっきりさせなくてはならないのは、クラッシュしたことによってアロンソが気を失ったのか、あるいは、壁にぶつかる前にすでに何らかの異常がアロンソの身体に発生していたのかということだと指摘している。

「(アロンソの失神は)それが原因だったのか、あるいは結果だったのか? それが我々には分からない」

そう語ったブランドルは、次のように付け加えた。

「誰もがそのことに関しては口が重いんだ。だから、何かおかしいよ」

■一貫性に欠けるマクラーレンの説明

今回のアロンソの事故に関するマクラーレンの説明に一貫性が欠けたことも、そうした疑惑を生む要因のひとつとなったのは間違いないだろう。

マクラーレンのレーシングディレクターであるエリック・ブーリエは当初、アロンソが脳震とうを起こしていたことを認めていた。だが、その後デニスはそれを撤回し、「脳震とうは起こしていなかった」と主張していた。

そのマクラーレンも、今ではアロンソが「セカンドインパクト症候群」のリスクを回避するために開幕戦オーストラリアGP(3月15日決勝)を欠場することを発表することで、アロンソが脳震とうを起こしていたことを正式に認めた形となっている。

アメリカの有名な総合病院であるメイヨー・クリニックは、その「セカンドインパクト症候群」について、「最初に起こした脳震とうによる兆候や症状が完全に消えないうちに二度目の脳震とうを起こすと」死に至るリスクさえあるものだと説明している。

当初、アロンソが脳震とうを起こしたことさえ否定していたデニスだが、先週にはアロンソの健康状態は「完ぺき」であると次のような説明さえ行っていた。

「脳震とうも何もない。ある段階では彼にその兆候が見られたが、何の問題もなかった」

■F1解説者もマクラーレンのコミュニケーションを批判

仮に、デニスに意図的に虚偽を述べるつもりはなかったとしても、少なくともコミュニケーションの取り方に関しては批判を受けることになりそうだ。

「恐ろしいくらいまずいやり方だった」

フィンランドのテレビ局『MTV3』でF1解説者を務めるオスカリ・サーリはそう語ると、「奇妙な話だ。なぜなら彼ら(マクラーレン)は経験豊富だし、うまくコミュニケーションを取るチームだからね」と付け加えた。

サーリはさらに、マクラーレンの医師であるアキ・ヒンツァがこれまでずっとスペインにとどまり、「アロンソの回復に関する意思決定に参加していた」ことも明らかにしている。

「F1には常にたくさんのうわさがつきまとうものだ。だが、今回のことについて言えば、感電も何もなかった。ただの脳震とうだよ」

そう付け加えたサーリは、次のように結んでいる。

「(アロンソが)マレーシアGP(26日決勝)に出られないというリスクは小さいと思う。だが、私はそれに関してもまだ少しだけ懐疑的だよ」

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