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「F1は容赦のない世界だ」メルセデスAMGのボス

2015年03月03日(火)17:27 pm

メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフが、F1は無慈悲な「シャーク・タンク」のようなものだと語った。

ヴォルフが使った「シャーク・タンク」(サメの水槽)とは、アメリカの『ABC』が放送している番組名でもある。その番組では「シャーク(サメ)」と呼ばれる投資家たちが、出資を求める実業家たちのアイデアを聞き、投資を行うかどうかを決めるという構成となっている。サメが泳ぐ水槽(タンク)の中に放り込まれたような実業家たちは、強いサメに打ち勝てるような力とアイデアを示さなければ、生き残ってはいけないという趣向だ。

もちろん、F1におけるヴォルフの立場は「シャーク」のほうだろう。

最近、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)がビジネスコンサルティング会社のマッキンゼーに依頼してF1チームのビジネスモデルを分析したことが報じられていた。そして、現在財政難に直面しているとされる小規模F1チームも、そのコストを実質的に半分ほどに引き下げることができるという報告がなされたという。だが、ヴォルフはそうしたアイデアには否定的だ。

ヴォルフは、ドイツのテレビ局『Sky(スカイ)』に、F1はそうやすやすと運営できるようなものではないと次のように語った。

「F1は、速いドライバーたちのためだけにあるのではなく、最高のエンジニアたちのためのものでもある。人々はそこに可能な限り最高の技術的冒険を見ることができるんだ」

F1がV6ターボによるパワーユニットを導入した2014年には、メルセデスAMGがまさにその技術革新の分野で圧倒的な支配力を示してみせた。

それゆえ、ほかの主要チームたちが、再びF1のルールを大きく変えるべきだと主張する中、メルセデスAMGが現状維持にこだわるのも当然の話だろう。

メルセデスAMGのドライバーであるニコ・ロズベルグも、イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』に次のように語った。

「いつだってそうだよ。誰かが強くなると、ライバルたちはその勢いを止めようとするんだ。レッドブルが強かったときもそうだったし、フェラーリが強かったときもそうだった。そういう争いは政治的レベルでも行われるよ」

だが、ヴォルフは、メルセデスAMGが現行維持を主張し、コスト削減にさえ反対しているのは、単に利己的な理由からではないと主張している。

「F1カーは2年前に比べればはるかに効率的になっているし、速さもほとんど変わらない」とヴォルフ。

「F1は革新や技術的革命のためにあるわけだし、それが市販車に還元されていくんだ。そのためには大きな予算が必要になるのも当然さ」

だが、ヴォルフは、F1があまりにも弱肉強食の世界となってしまうことには反対だとも述べている。例えば、昨年経営破たんに陥ったマルシャが、マノーという名前で2015年のF1復帰を目指している。しかし、このマノーの復活が失敗に終わることを望んでいるチームが複数あることも事実だ。それに関し、ヴォルフは次のように続けた。

「我々はマルシャが残ることを歓迎している。だが、F1はたとえ小規模チームを相手にするときでさえ容赦のないシャーク・タンクのような世界なんだ。もしひとつのチームが減れば、ほかのチームの取り分が増えるわけだからね」

そう語ったヴォルフは、次のように付け加えた。

「それは不愉快なことだ。チームの収入によって家族を養っている人たちだっているわけだからね。我々はそうした職場を救う必要があるし、それ以外のことは二の次だよ」

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