2015年のシーズン開幕前に行われる公式合同テストもすべて終了し、各F1は開幕戦オーストラリアGP(3月15日決勝)が行われるメルボルンへ向けてF1カーや必要な機材を搬送する手続きに入っている。
だが、2015年も、昨年同様にメルセデスAMGが圧倒的な力の差を見せつけることになるのは明らかだと誰もが認めている。
先週バルセロナで行われた通算3回目のシーズン前テストでも、メルセデスAMGがその本当の実力をあまり見せずに終わったと考えている者が少なくない。
だが、2014年には4年間守ってきた王座をメルセデスAMGに奪われたレッドブルのクリスチャン・ホーナー(チーム代表)は、メルセデスAMGがテストで刻んで見せたいくつかのラップタイムは「驚異的」であり、しばしば「気がめいる」ほどのものだったと語っている。
■実際にレースが始まってみないと分からなかったのは昔の話
F1関係者の間では、シーズン前テストでの結果はそれほど信頼に足るものではなく、実際にオーストラリアでのレースが始まってみないと本当の力関係は見えてこないというのが常識的な見解となっている。
だが、近年ではそうとばかりは言えなくなってきているようだ。
メルセデスAMGのニコ・ロズベルグは、フィンランドの『Turun Sanomat(トゥルン・サノマット)』に次のように語った。
「ほかのチームがどうやっているかは分からないけれど、僕たちのところでは1人の担当者が、ほかのチームがどれくらいの速さを持っているかということだけに絞って分析を行っているんだ」
「僕たちにはデータやグラフがあって、それによってほかのチームがどんな調子なのか見ることができるようになっているのさ」
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』によれば、その担当者とはジェームス・バウルスという人物だという。バウルスは先進的なGPSを使ったシミュレーション・プログラムを担当しており、それによってメルセデスAMGがどれほどのリードを持ち、ライバルであるウィリアムズ、フェラーリ、そしてレッドブルたちにどれほどの差をつけているかということも分析することができるのだという。
バウルスも、「メルセデスAMGでは、フェラーリに関して、彼ら自身が理解できているのと同じくらい理解できているよ。彼らのほうでも同じだろうけどね」と語り、現代の最新分析ツールを駆使することで、この段階でもライバルチームの力量がかなりはっきりとつかめるようになっていることを認めている。
■現時点でメルセデスAMGは1周あたり1秒ほどリード
伝えられるところによれば、メルセデスAMGのシミュレーション・プログラムは、バルセロナにおいて自分たちのクルマが大きくリードを取っており、次に速いクルマよりも1周あたり0.8秒ほどの差をつけていることを示したという。
そして、メルセデスAMGを追う立場にあるウィリアムズ、フェラーリ、レッドブルはそれぞれ0.1秒差の中でひしめき合う状態であることが示されたとも言われている。
ロータスのロマン・グロージャンは、フランスの『RMC Sport(RMCスポール)』に「僕たちがどの位置にいるかということは言えないんだ。それは機密事項だからね。だけど、これははっきり言えるよ。最高のチームはメルセデスAMGだ」と語り、次のように続けた。
「現時点では、彼らがどのチームよりも1秒速いと思う。だから、彼らはかなり素晴らしい仕事をやってのけたと言えるね」
ウィリアムズでも似たような分析を行っているようだ。チーフテクニカルオフィサーであるパット・シモンズによれば、メルセデスAMGは「昨年とかなり似たような」差を保っているという。
■目標はメルセデスAMGに次ぐ2列目確保だとベッテル
そして、フェラーリのセバスチャン・ベッテルも、スペインの『AS』に次のように語った。
「2週間後には、もっとはっきりしたことが分かるだろうね。でも、現時点で誰がグリッド最前列に並ぶかということははっきりしているよ」
「僕たちの目標は、その後ろの2つのグリッドを確保することになるだろう」とベッテルは付け加えた。
ロズベルグも自分たちの優性を認め、「僕たちはシーズンの最初からいいレースができると思うよ」と語り、次のように付け加えた。
「僕たちが今年のチャンピオン候補だよ。昨年もタイトルを獲得したし、今回のシーズン前テストでも僕たちが最速だったからね。僕たちはかなり楽観的でいられるよ」