ルイス・ハミルトンとメルセデスAMGの契約交渉に関する報道で、あまりに高額な推定年俸にトト・ヴォルフはあきれ顔である。
マネージャーを持たないハミルトンは、今もチームと2015年以降の契約を巡ってつばぜり合いを展開中だ。
英高級紙『Times(タイムズ)』によると、両者は3年契約で総額2億3,100万ドル(約276億円)、年に7.700万ドル(約92億円)の線で話し合っているという。
週給にすると約150万ドル(約1億,7,900万円)もの高額だ。むろん、この契約金はF1史上最高額である。
「関係者がいうには、世界チャンピオンなのだから、稼ぎもF1グリッド最高額でなければならない。セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)とフェルナンド・アロンソ(マクラーレン・ホンダ)を抜きたい。それがハミルトンの考え方だ」
ところがドイツの報道によればヴォルフは、現実離れした「風刺作品」を目にしているといった面持ちで、あきれ果てているという。
「そんな数字は、幻だ。イリュージョンだよ」とヴォルフ。
「メルセデスのモットーは効率だ。ドライバーの給料も同じことだ」
メルセデスAMGが強気に出たとしてもおかしくない。確かにハミルトンは優勝経験豊富なドライバーだ。F1グリッドで、もっとも市場価値が高いのも彼だろう。だが同時に、メルセデスAMGのマシンに乗りたがるドライバーは掃いて捨てるほどいる。
「(交渉に)完ぺきな条件などない」とヴォルフ。「しかし、ルイスはチームに残りたがっている。われわれも彼にいてほしい。互いに必要なのは、両者が歩み寄れる最低線を見出すことだ」
交渉は2月上旬に行われたF1ヘレス合同テストの時点で詰めの段階に入ったといわれる。「ところが、それに時間がかかるのだ」とヴォルフはいう。
「考え方は似ているのだが、それを契約書にどう表すかが重要だ」
契約もだいじだが、そろそろ2015年F1タイトル防衛に集中する時だ。競争相手にはもっと力を付けて欲しい。それでこそF1は健全なスポーツといえる。ヴォルフは、そのように考えている。
「フェラーリは大きく進歩した」「われわれの目に、彼らの直線スピードはかなり速く映るよ」
「嬉しいじゃないか。フェラーリがトップにいてこそのF1だ」
「ウィリアムズは昨年同様、今年も低ドラッグのマシンを造ってきた。残る謎は、レッドブルだ」